日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
劇場は今、規制退場というのをしている。一斉に出るとロビーや出口が混雑してしまうから。コンサート会場では以前からとられていた方法だが、コロナ禍での対策として、各劇場さんが対応してくださっている。
「お急ぎの方以外はその場でお待ちください」みたいな丁寧な声掛けをしているところもあったし、以前よりはこの辺りも緩和していたりするところもあるけれど、とにかくしなければならないことが増えて劇場側は大変だ。
飲食店もその他、さまざまな施設もそうだろう。
それを思うと、私はwithコロナという言葉を簡単には口に出来ない気分だ。
先日とあるSNSで、この規制退場に関する書き込みを偶然目にした。
内容は、劇場によって退場の順番が異なること。後方席からの退場で、前方が延々待たされたということに対する不満だった。
「高い席料金を払っているのに待たされるなんて理不尽」というようなホンネが書かれていた。
ホンネ? 背筋が凍った。
その意見に関しては、同調もあり、反論もあり、まあまあとなだめるような反応もあって、アブナイ一方向になっていなかったようなので、少しホッとしたが、
やはり最初に目にしたときの背筋がゾワッとする感じが忘れられない。
「高い席が優遇されるのは当たり前」
これと同じような思考が世の中にはたくさんたくさんあるのだろうなと思う。
思っているのに声に出さないことは健全ではない気がするけれど、
そう感じたのだから仕方ない……で大丈夫だろうか。
今日、観劇した劇場はリニューアルオープンのタイミングで、退場の動線がとても考慮されている。
以前は遅い時間はエレベーター一択だったのだが、新しくなってからは8階かららせん状にデザインされた外階段を使って1階まで降りることができる。
開放感もあって、とてもよい。
でも、ここでひとつ問題がある。
階段はとてもオシャレなデザインと建材なのだが、
めっきり下りの階段が苦手になってしまった私は、そのオシャレデザインが仇となり、
踏み外しそうになるのだ。
結果、手すりがあれば手すり寄りに、ないところではかなり慎重によちよちと降りている。
これは完全に私の問題なので、読んでゾワッとしなくていい話。
「ゆっくりでいいよ」と思うのはもしかしてそういうこと?