日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
中1の姪と観たミュージカル『モダン・ミリー』レポのつづき。
※以下、舞台に関するネタばれがあります。
幕間にパンフレットを購入し、キャストの写真を見ながらプチ解説。
主演の朝夏まなとさんは、宝塚男役トップスターだったということ。
劇中のミリーは、かわいいワンピースにヒール姿なので、男役さんと伝えたら驚いていた。
でも背が高いから、キリリッとカッコ良かったと言うと、
「ほんと、背、めっちゃ高い。メイクとかでカッコよくなりそう」
うーん、わかってる~。
友人となるドロシー役の実咲凜音さんは、その朝夏さんとコンビで、娘役トップさんだったこと。ドロシーはフリフリっと女の子らしい役だったから、そこは容易に想像がついたみたいだ。
劇中には、タップダンスのシーンが度々登場する。
私「タップダンス、すごかったね」
姪「めっちゃすごかった」
私「結構長い時間タップ踏んでたもんね、エレベーターのシーンとか」
姪「あれさ、エレベーターのところ、特別な床だよね」
うーん、わかってる~。
タップを踏むと、エレベーターが上昇するシーンがあるのだが、その箱型(エレベーター)の床は、タップシューズの音が良く鳴る仕様のようだった。
さすがじゃんと褒めると、
「がま君とかえる君の時もそうだったから」
と、彼女をはじめてミュージカルに連れていった『フロッグ&トート』の時に観たタップシーンを憶えていたようで、そう言った。
たしか、板の上でタップを踏んでいたのだった。
うーん、さすが、よくおぼえてる~。
タップシーンについては、終演後も、
「あれ、ずーっとタップシューズ履いてるのかな?」と、度々タップシーンが登場したことを受けて、姪が素朴な疑問を口にした。
私「どうなんだろうね。そうかもしれないね。すごいよね、かかとの高い靴で」
姪「うん、大変そう」
私「どちらにしても相当体幹が強いよね」
姪「絶対そう」
姪は女子サッカーチームに所属しているので、体幹という言葉には敏感に反応する。
ホテル・プリシラでオーナーのミセス・ミアーズ(一路真輝さん)にこき使われている従業員バン・フー(丸山泰右さん)とチン・ホー(小野健斗さん)兄妹は、中国語の台詞が多く、その訳が電光掲示板に出るのだが、それについて
私「あの兄弟の台詞の訳、早すぎてなかなか読むの追いつかないよね」
姪「ほんと、早すぎる」
こんな一門一答みたいな会話だけれど、感想のシェアはこういうプチっとした感じでもしないよりはいいんだと思っている。
その後も一路真輝さんも元宝塚の男役トップスターで、朝夏さんの大先輩であることや、
ミス・フラナリー役の入絵加奈子さんには、私、取材したことあるんだよ! なんていうプチ自慢も挟み込みつつ、25分間の休憩は終わった。
一幕で少し眠くなったと言っていたが、恐らく二幕はもっと短く感じると思うよと伝えると、それも『マイ・フェア・レディ』の時の記憶で、
「うん、たぶんそう」と言った。
さて『モダン・ミリー』の二幕は、一幕よりわかりやすい内容で、エンディングまで一気だった。
ミリーの明るさ、ミリーを取り巻く人物たちの優しさ、強さ、ユニークさ。
善い行いと悪い行いがはっきり見えて、この『モダン・ミリー』が子どもたちにも観てもらいたい作品に選ばれた意味もよくわかった。
規制退場に従い、のんびり待って客席を後にした。
劇場を出ると、姪の父親が劇場前まで迎えに来ていた。
さあ、こころから先はまさに実況。
父「どうだった?」
姪「おもしろかった」
父「おもしろかったって、それだけじゃわかんないじゃん。どういう話だったの?」
私「これはね、質問力よ。どうだった?って聞かれたら、おもしろかったってそれは答えるわよ。どういう話だったの? だと、これ、説明がなかなか難しいよね。
でもね、〇〇は大丈夫よ、しっかり作品把握してるから。いいとこ突いてるから。
大人の方の質問力よ、質問力」
まあ、彼女の父親はつまり私の兄なので、むしろ兄へのダメ出しをしてしまった。
でもそうなのだ。感想を聞きだすのって、実は難しかったりするのだ。
私「何のシーンが一番よかった? 印象に残ってる?」
姪「タップがすごかった」
私「いつの時代の話だったっけ?」
姪「1922年、今から100年前」
私「その時代のアメリカにはどんな法律があったんだっけ?」
姪「禁酒法!?」
兄「へぇー。で、どういう話だったの?」
姪「なんか、ミリーって女の子がニューヨークにやってきて、でもお金を取られちゃって、仕事を探すんだけど……」
私「最初は何をめざしてたんだっけ?」
姪「お金持ちと結婚するとか。でも本当に大切なのはお金じゃなくて愛だってなって」
兄「ほぉー」
私「だ・け・ど、最後に実は!」
みたいな感じ。
兄がそれで何を思ったかはわからないけれど、私はこの理解度は叔母としてはもう嬉しい、
連れて来た甲斐があると思いを伝えた。
モノより経験が私の使命。
今回も手拍子を率先してしていたし、スタンディングオベーションにもすんなり反応していた。
ちょうどこの日はミリー役の朝夏まなとさんのお誕生日で、カーテンコールで♪Happy Birthdayが流れる演出もあって、そんな体験が出来たのも特別だったよねと、
嬉しさを共有した。
さて、翌日、姪に「昨日はありがとう」とメッセージしてみた。
「誰かにミュージカルみたって話してみた?」と質問してみたが、
今のところ返信はない。
この実況はここで終わるが、私の果てしなき「観劇のススメ」草の根運動はつづく。