日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
人生初の「奈良」をエンタラクティブにお届けする短期集中連載。興福寺で天気雨の後に五重塔からかかる虹を見たというのが前回。
5月の京都につづき、今回の奈良旅をご一緒してくれたけこさんと新大阪で別れ、
帰りの新幹線に予定通り乗り込んだ。
今回は極力荷物を少なくしようと、PCも持参せず、着替えも最小限にしてリュックとサブバッグだけの1泊2日だったからとても身軽だった。
短い旅の時間に撮った写真をアルバムでシェアすることにして、
夜食べたものの写真や宿泊した部屋の写真も振り返っていた。
少しして、SNSを何の気なしに見ていると、
以前、一度知り合いのお店でご紹介いただき、つながらせていただいていたある方の投稿に目が留まった。
お仕事で奈良に行っていたという。
「まあ、そんな偶然もあるのね」と心の声。
そのまま投稿を続けて拝見していたら、お食事の記録が出てきた。
……ん? なんだか見覚えがあるぞ。
ビールにお通し。
天ぷら、玉子焼きにお蕎麦。
えー--っ!?
それは昨夜、私たちが夕飯に訪れた蕎麦店だった。
しかもオーダーしたメニューがまるかぶり!!
(たぶん私たちのほうが一品多かったけど)
その店は奈良に行く際に、おすすめを聞いていた先輩に教えていただいていた
雰囲気のいいお蕎麦やさん。
予約せずに行ったけど、たまたま入れて、ゆっくり食事を楽しんだのだった。
「こんなことってあるのーー?」とふたたび心の声。
……と、ほとんどストーカー状態で怖いよねと思いつつ、思わずコメントをせずにはいられなかった。
「わー、ニアミス。どれも美味しかったですよね」と神コメントを翌日返信してもらいつつ、私は一人で思っていた。
「広目天さんは見てるよねー」と。
「多聞天さんは聞いているよねー」と。
この世には、日々には凸と凹、光と陰、ポジとネガが対で存在することを
あちらこちらで実感させてくれた奈良にありがとう。
(おわり)