日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
桜の開花予想に街や人が動き出す今日この頃。
梅を見に、亀戸天神へ足を運んだ。
「梅を見にいかない?」と友人に誘われた時、なんだかそれだけで風流な気がしていい気分になった。もう十二分じゃ足りないくらい大人なのに、「大人っぽい~」とか感じてはしゃぐこの図々しさったらないけど。
亀戸天神の梅まつりは3月5日まで。ここ数日の気温の上昇も手伝ってか満開の時期は過ぎていて、混雑もさほどではなかった。
池には散った梅の花びらもちらほらと。
青空をバックに映る梅の花は、慎み深くていい。
梅は枝を含めて鑑賞を楽しめるものなのだなというのも梅見にいってあらためて感じたことだった。
ちなみに亀戸天神は学問の神様、菅原道真公を御祭神とする天神様。
境内にはその道真公が愛した梅が約300本植栽されているそうだ。
合格祈願やその御礼参りで訪れた人も多いことだろう。
境内を歩いて、梅の木を見ながら友人が言った。
「梅の名前って素敵なのが多いね」
同じことを感じていたので、そう言われてから後は、梅の木にかかった名札を見ながら鑑賞をつづけた。
梅の名は実に風流で美しいものが多い。
咲いている木の中でもっとも多かったのは「白加賀」。ちょっと日本酒の名前みたいな感じもする。
文字どおり白が美しい、とてもオーソドックスな梅の花という感じだ。
そのほかにも柳川絞り、未開紅(ミカイコウ)、鹿児島紅、月影(ツキカゲ)、思いのまま
など、たくさんあって、たぶんもっと風流な名前もいろいろあった。
実家の梅の木はなんという品種だったのだろう……とふと思ったりして。
梅の木の中には源平咲きと呼ばれる1本の木に紅白の花が咲くものもあった。
また亀戸天神の本殿両脇には向かって左が白、右が紅の梅が咲いていて、
なんだろう、やはりなんだかありがたい。
ここで一句とか一首詠めたらいいな……と思うだけ思って次の木、次の枝を見ながら
「君の名は?」みたいに「梅の名は?」と思いながら歩みを進めた。
後日実家の母に、梅を見に行ったこと、梅の名が風流だったことを伝え、実家の庭の梅はなんという種類だったのだろうと訊ねてみると、
「名は不明です」と返事がきた。
「なはふめい」なんとなく平仮名にしたらちょっと風流な感じが……しないか。