理由あって週イチ義母宅に通っていた。
これは、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、ちょっとしたホントの話だ。
理由あって施設に入所している義母へ、今月も面会に訪れた。
施設のルールが緩和され、面会予約も取りやすくなった。
検温をして、手洗いうがいをして、マスクは必須。
そうしてこの日、初めて義母が暮らす3階フロアに誘導された。
これまでは広いロビーでポツンと一家族が面会するスタイルで、なんとなく寒々しい感じがしていた。(実際寒い時期が多かったというのもある)
義母はショートステイからロングステイになり、同じ建物の1階から3階に年明けから移っていたのだが、実際に3階に家族が足を踏み入れるのはこの日が初めてだった。
建物自体が新しくて、清潔、全室田んぼビューの長閑な場所にある。
皆が食事をしたり、テレビを見たりするスペースを通って、義母の部屋へ案内された。
そこにはリラックスした義母がいて、きょとんからのようこそ!という感じで迎えてくれた。
多くの施設がそうであるように、ベッドと収納ケース2.5個に洗面がついた、至ってシンプルなお部屋だ。でも、病院の個室とは違うゆるやかな空間に感じた。
義母は同じ柄の色違いのソックスを履いていた。
その足元は以前ほどむくんだりしておらず、顔色もいい。
不思議なことに先月会った時よりも、話し方や言葉もスムーズだった。
ロビーはよそ行き、部屋は我がテリトリーということなのかもしれない。
しばらくすると職員さんが「すみません……」と恐縮しながらやってきた。
何事かと思ったら、「すみません、靴下……」と言って、違う色のものに履き替えさせてくれた。
朝、義母が自分で選んだのをそのまま履かせてくれていたらしい。
「え、いいのに。いいですよ」と言ったのだが、適当にされていると家族に思われてはいけないということなのかもしれない。
その後も会話は弾み、私の名が出た時には「え、〇〇ちゃんが来てくれたの!?」なんて笑顔で言っていた。
いろいろ曖昧でも嬉しそうにされたら、こちらはかなり嬉しいものだ。
帰りは玄関まで見送りしてくれて、あっという間だけど平和な面会は終了した。
息子である夫が、施設の職員さんに
「いい施設にお世話になれてよかったです」と伝えていたのが印象的だった。
いつもなら私が言いそうな台詞だが、
夫から出たその言葉は、心からの言葉で、相手に伝える意志を持っていた。
だから、あぁ、伝わってるなぁと横で聞いていて実感した。
実はこの日、面会に行く前に、夫セレクトの森の中にあるレストランでランチをした。
敷地内のガーデンはバラが満開で、フォトジェニックな場所がたくさんあったので、
食後散策しながら、写真もたくさん撮った。
相変わらず自撮り慣れしていないので、うまく撮れないし、私一人で撮ってもらった写真は
画角はいいのだが、何度やってもブッブ―というショットばかりだった。
だから自分が写るのは好きじゃあないのよ。
けれど、義母の部屋で、車椅子の義母との写真は自然な笑顔が出て我ながらよく撮れていた。
どこで撮るかより、誰と撮るか……ってことだろうか(笑)。