紅茶コーディネーターのイノチカが、さまざまな角度から紅茶と共に過ごす時間をご提案するオリジナルエッセイ。
好きなのは紅茶を愉しむしあわせな時間と空間。
一人の時もあれば、大切な誰かと一緒の時も。自宅をはじめ居心地の良い場所でのTeatime。
私の人生の中で、紅茶と紐づく記憶は、いつもしあわせと結びついています。
暮らしに紅茶を取り入れて、日常にもっともっとしあわせな時間を増やしていくことができたなら……。
紅茶にまつわるあれこれを綴ります。どうぞ紅茶を片手にお付き合いください。
《Tea and・・・温泉水で頂く紅茶》
朝晩は爽やかな空気に包まれるようになり、早朝散歩の足取りも軽くなってきました。
いつもすれ違うゴールデンレトリバ―も私と同じ気持ちなのか、いつになくはしゃいでいて、見ている私も「ごきげん」になります。
以前、コーピングについてお話しましたが、日々のちょっとしたことで、自分で自分をごきげんにできると毎日がとても満たされていることに気づきます。
私のコーピングリストには、日常のちょっとしたこともたくさん書いてあるのですが、非日常の特別なこととして、「温泉に行く」というのがあります。
住まいのある横浜は、出身地の熊本のように気軽に温泉とはいきません。
しかし、神奈川県にはありがたいことに有名な温泉地『箱根』があります!!
忙しい日々が続き、肩こりや目の疲れを感じた時、精神的な疲労がたまって睡眠をとってもなかなか疲れが取れない時などは、思い切って一日時間を作り日帰り温泉へ夫婦で出かけることにしています。
私がよく行く箱根の日帰り温泉は[天山湯治郷]。静かに湯治する人たちのための温泉郷です。
わが家からは高速道路を使って、スムーズにいけば車だと箱根奥湯本まで1時間くらい。(ただ、休日など渋滞することもよくあるので、時間に余裕が必要です。)
ここはおひとり様も多く、夫婦や家族、2~3人くらいで、いらしている方が多いです。
これがまた、静かで本当にリラックス効果が高く、カラダも温まるし、ゆっくりお湯につかって、ぼーっと緑を眺めていると目の疲れも取れてきます。露天風呂では小鳥のさえずりや虫の声に耳を澄まし、源泉かけ流しのお湯に身をゆだねると、なんとも心地よくしあわせを感じます。
読書室もありますので、お風呂上りは静かに読書をしたり、近くを流れる須雲川の音を聞きながらひと眠り。
食事にも温泉水が使われていて、温泉湯豆腐なども美味しく頂くことができ、カラダの中からも温泉を味わうことができます。
そして、私の一番のお気に入りは、やっぱり紅茶。
施設内にあるカフェ『うかれ雲』では温泉水で淹れた珈琲がお勧めのようですが、こだわりの茶葉を使った紅茶もあります。
温泉水と一口に言っても、ミネラルの含有量など源泉によって様々です。
天山の飲める温泉水はアルカリ性単純泉の超軟水。
軟水で淹れるお茶は香りも味も渋味もしっかり出てくるという特徴がありますので、
茶葉の量などで調整し、温泉水の特徴をよく知るお店の方が良い塩梅で淹れてくださいます。さらに、自分好みの濃さに調整するため、温泉水をティーポットに入れて一緒に提供してくださる心遣いがとても嬉しいです。砂時計が添えられていますので、時間を測り、1杯目は香りを楽しみます。2杯目はしっかり味がでていますので、お風呂上りはさっぱりとティーカップ半分くらいの紅茶に温泉水をたして薄めにしていただきます。
温泉水の効果なのか、まろやかで、最後まで美味しくいただけます。
大好きな紅茶&温泉でエネルギーチャージ。私にとっては自分を癒し、心を満たす非日常の特別なひと時です。
天山湯治郷は日帰り温泉で予約が要らないところもお気に入り。
涼しくなって夏の疲れも出るころですので、温泉でリフレッシュするのもいいですよ。
箱根に行かれる際はタオル持参で、気が向いたら立ち寄られてはいかがでしょう。
これからの季節、旅行の機会も多いかとおもいますので、お出かけ先の温泉地で、紅茶や珈琲を温泉水で淹れてくれるところがあるか探してみるのもおすすめです。その土地ならではの味をぜひお楽しみくださいね。
そろそろ紅茶のお代わりはいかがですか。
ここのところ、忙しい日々が続いていましたので、書きながら、久しぶりに温泉に行きたくなってきました。