アトリエM_こばやしいちこによるオリジナルブックレビュー。たくさん読んだ本の中かにおら、読者すすめの一冊をご紹介します。
ぱっちり、朝ごはん / 小林聡美 森下典子 ほか
朝ごはんが大好きな35人によるエッセイ集。35通りの朝ごはんの種類、考え方・対
し方がそれぞれでどれも面白い。
山本ふみこさんの『朝餐』は、どうしても、娘の誕生日を当日に、家族そろって食卓を
囲みたい。でもそれぞれの家族に予定があって、当日はどうやら無理そうだ……となっ
た時のこと。週末、みんなが揃う日に夕食(晩餐)を、と言うのではなく、朝食(朝餐)
で祝おう! とした話。なるほど。なんとなく誕生日のごちそうは夜のイメージだけど、朝
だっていいんだもんね。ちょっと早起きをして、この日は身支度を整えて朝食のテーブル
について、いつもより豪華な朝食をとりながら、お祝いをする。素敵な朝のパーティーだ
。
椎名誠さんの『二日酔いの朝めしくらべ(国際編)』は、二日酔いに苦しむことが多い
人にはとても参考になる。食べられないから朝ごはんは抜いてしまう、と言わずに、参考
にするとよいと思う。スコットランドの朝ごはんは、オートミールのお粥みたいなポーリ
ッジが主流で、これは二日酔いにぴったりなんだそうだ。韓国で二日酔いの時は、ネギ、
モヤシ、白菜、カクトギ、キムチ、ごはんを牛のスープで煮たヘジャンクックがおすすめ
だとか。そして二日酔いの朝ごはんとして(椎名さんが)いちばんうまいのは、ラオスの
フーという、スープビーフン。あつあつのスープに何種類ものハーブともやしをのせて、
トウガラシ系の薬味で食べる。二日酔いの朝ごはんとして、しじみの味噌汁くらいしか思
い浮かばなかった私も、覚えておこうと思った。
山崎まどかさんの『朝ごはん日和』は、朝がからきし弱くてなかなかご飯が食べられな
い作者が、どうやったら食べられるだろうか?と考えた末、友だちと「外で朝ご飯」の企
画を実施して、イベントにしてしまった話。早起きして集合。気になっていたお店で美味
しい朝ご飯を食べて、いつもだったら起きる時間に家に帰る。早起きは三文の徳とばかり
に、有意義な一日がスタートしそうだ。
何年か前に、私も、山崎まどかさんの『朝ごはん日和』のように朝ごはんを外で食べる
会をやっていたことがある。私の場合、朝が弱いわけではなかったが、夜と違って、わり
と静かな食事を楽しめるのが良いところで、同じビルに勤める別会社の友人と2人、行っ
てみたい朝ごはんの店の情報を持ち寄りあい、月に一度開催していた。
第1回目は、ホテルオークラのフレンチトーストだったのを覚えている。朝7時からや
っているダイニングをしっかりと予約した。しっとりふわふわしみしみで、もう朝からう
っとりだった。フルーツもたっぷりと添えられて、朝からボリューム満点。朝ごはん会の
滑り出しにふさわしいチョイスだった。
何回か行ったのは、外苑前のWORLD BREAKFAST ALLDAYと言う、世界の伝統的な朝
ごはんが食べられるカフェレストラン。2か月ごとに国が変わるから、何度でも行きたく
なってしまうのだ。本当に楽しくて美味しい。思い出したらまた行きたくなっちゃったな
あ。
芝公園のベーカリーレストラン、ル・パン・コティディアンは、広くて明るく朝日が差
し込み、ロケーションもとても素敵。もちろん席から東京タワーが見える。パンもスープ
もサラダもとても美味しかった。
ほかにも赤坂あたりの中華粥のお店や、ホットドッグ、おにぎりカフェなど、いろいろ行
った。行きたいお店を探すのも楽しかった。
朝というのは、突発的な予定が入ってキャンセルになりにくい時間だからっていうのも
とても良かったな(寝坊はさておき)。そして、なんとなく朝って、愚痴や悪口が言い辛
い雰囲気がある。おしゃべりが明るいのだ。いつもよりゆっくりと美味しい朝ごはんを食
べて、同じビルに出勤する。エレベーターで別の階に降り、「また来月もね」と言い合う
。
その友人に子供が生まれたので、今は朝ごはん会どころではなく休止しているが、落ち
着いたかな?のタイミングでまた声をかけてみようかな。