アトリエM_こばやしいちこによるオリジナルブックレビュー。たくさん読んだ本の中かにおら、読者すすめの一冊をご紹介します。
リュウジ式 至高のレシピ / リュウジ
料理本を見なくても、冷蔵庫にあるもので、酒のつまみや、ご飯のおかずはなんとなく作れる。……と言うと、だいぶ料理上手みたいな感じだが、そういうワケでもなくて。何となくまぁまぁかな、って料理が完成する。最近、料理をする機会が格段に増えてきて、腕が上がるより、自分の料理に飽きてきた。人に作ってもらう料理って、それだけで美味しいよねぇ。
何とかしないと、と思って、久々に料理本を買ってみたのが、この料理研究家リュウジさんの本だ。
「難しいこと、めんどうくさいこと、イヤでしょ?」と言う言葉が聞こえてきそうなこの本、でも、私が知らなかったコツやワザがふんだんに散りばめられている。
シンプルだからこそ難しいペペロンチーノなんて、パスタを茹でるのから、ソースを絡めるのまで、ひとつのフライパンでやってしまう。パスタの乾麺の状態からソースで茹で上げて、麺にソースを吸わせるから、味がしっかりついて、本当に美味しいのだ。
美味しそうな写真もたっぷりで、とても見やすい。
珍しい料理は載っていない。定番で実用的な、誰もが知っている料理のレシピ。でも、至高。
この本に載っている豚汁を、真面目にこの本通りにきっちりと作ると、本当に美味しい豚汁が出来上がる。濃厚で、モツなんて入れていないのに、モツ煮みたいな味。絶対に入れなくちゃダメなのは、ゴボウ。これにしっかり焼き目をつけるのが、たぶんポイント。今じゃあ、自分の豚汁が一番好きだ。あまりにしょっちゅう作りすぎて、若干、家族が飽きているのを感じる、ここ最近。
カレーライスだって載っている。市販のルーで作る至高のカレー。
「カレーなんて、目をつぶったって作れるよ」なんて言わずに、レシピ通りに一度作ってみて欲しい。私はそうした。大さじとかもきちんと使って軽量して。すると、ああ、至高のカレーの出来上がり。
だし巻き卵は、リュウジさんが、卵2個に対して、限界まで加えられる水分の量を研究してくれたレシピ。自分で今まで作ってきたのより、はるかにたっぷりの水分で、白だしで味付けたこのだし巻き卵は、本当にフワフワジューシーで、まるで茶わん蒸しのようだった。
リュウジさんは、酒飲みだから、ちょっとした酒の肴もうまい。シンプルな味付けをほどこして、トースターで焼いただけのグリルチキンや、刺身にガーリックオイルをかけて、カルパッチョ、など、簡単で美味しそうなアイデアが参考になる。
加熱によって固くなってしまったり、パサパサになりやすい鶏胸肉の美味しい調理法も、リュウジさんの得意技だ。もも肉の唐揚げなんて、ジューシーで美味しいけれど、ダイエットや、筋トレなどをしている人は、脂質の少ない胸肉の方を喜ぶ傾向がある(おもに我が弟の場合)。それに安いしね。
「え?これって、本当にムネ?」
料理に関して、私が今年一番言われて嬉しかった褒め言葉がコレだ。