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あつあつを召し上がれ / 小川 糸

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アトリエM_こばやしいちこによるオリジナルブックレビュー。たくさん読んだ本の中かにおら、読者すすめの一冊をご紹介します。

あつあつを召し上がれ / 小川 糸

亡くなった秋田生まれの父が、病院のベッドでずっと食べたがっていたのは、健啖家の
父が鍛え上げた、料理上手の母の作るきりたんぽ鍋。
一緒にいることが許されない食いしん坊カップルは、パリで餓死ってロマンチックじゃ
ない? とばかりに心中を計画したが、そんな二人が最期の晩餐に選んだ料理とは?
10年以上付き合ったが、別れることを決めた恋人同士が最後の旅行で味わった松茸の
味。気づまりな食卓の豪華な食材は、どんな味か?
父親の遺言で、「この店の味がわかる相手と結婚しろよ」、と言われていたと言う、恋
人に連れて行ってもらった中華料理店の豚バラ飯。
子供に戻ってしまったおばあちゃんが食べたかったのは、家族みんなで並んで並んで食
べた、行列の出来る天然氷のかき氷だった。

人は数えきれないほど食卓に向かう。美味しい食卓、楽しい食卓、気づまりな食卓
……この本は、忘れられない味や、それぞれの食卓にまつわる思い出など、ちょっと切
ないような7つの食卓のお話。

1日3回食事をするとして、1年で1,095回食卓に向かうから、食卓をいかに楽しく過ご
せるかと言うのは、夫婦、友人、恋人、どんな関係でも重要なポイントだ。好きな食べ物
、嫌いな食べ物が全く同じじゃないといけない、と言うことだけではなく、一緒に食事を
すると、おしゃべりも弾む。なんだか美味しい、なんだか楽しい、とか。
食べることが得意じゃない人もいるけれど、食いしん坊な私の親友は、やはり食いしん
坊だ。お互いにたくさん食べるし、食べながら、「次は焼肉とか行きたいね」「ああでも
、たまにはフレンチでワインなんかもいいよね」と、もう次の美味しい計画を練ってしま
ったりする。それもまた楽しい。食べることが大好きでワクワクするのだ。

「ダンナと食べ物の趣味が合わなくて……」とか、「夫がコレ嫌いだからうちでは食
べられない……」など、友人などからたまに聞く話。それぞれに好き嫌いがあるのだか
ら、ピタリと好みが合う、というのはなかなか難しい確率だろう。でも出来たら、一番身
近で、これからも数多くの食卓を囲むのであろう妻や夫とは、「美味しいね」をたくさん
言い合いたいものだと思う。
アツアツのとろ~り溶けるチーズが嫌いだと言うダンナを持っている友人は、私と良く
、イタリアンに行きたがる。ここぞとばかりにアツアツチーズのピザや、グツグツと煮え
たぎるラザニアを嬉しそうに頬張る。魚卵が苦手だと言う夫を持つ友人とは、先日、ウニ
料理専門店で、ウニ尽くしのコースで忘年会をした。そうだ。こうして、夫以外の人と楽
しめばいいのだから、家で食べられなくったって、なんの問題もないのだ。

私の父も、昔はウニが食べられなかったらしい。昔と言うのは、今はなぜか大好物にな
っているから。それに対して私の母は、「食べられるようになって、良かったわ
~」……ではなく、「昔は、ウニ、独り占め出来てたのに、今は、取り分が減ったわ
!」と、憎々しげ(?)に言う。父がウニ嫌い時代も、そんなこと関係なく、ウニは食卓
にのぼっていた、ということだ。
まあ、なかには、こんな夫婦もいると言うことで……

文と写真・こばやしいちこ

小さな頃から本が好き
映画が好き
美味しいものが好き
おせっかいに人に勧めたがり
愛犬・さくら(黒のトイプードル)を溺愛しながら、
毎日なにかしら本を読んでいます。

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