日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッ
セイ、つまりクリッセイ。
SNSでわかりやすく美味しいものばかりフォローしては、「いいね」をつけている。
その「いいね」は=(イコール)「いつかは」になりやすい。
最近の私といえば、近江屋洋菓子店のSNSに夢中だ。
「近江屋洋菓子店」は東京の淡路町に店を構える明治17年(1884年)創業の老舗洋菓子店。
淡路町は会社員時代、合計すると7年半くらい通ったエリアだというのに、
当時この店で買い物をすることはなかった。
そもそも空いている時間に仕事が終わらなかったとか、
物理的な理由はいろいろあるけれど、要はよく知らずにいたのだ。
友人から差し入れで焼き菓子をもらってからはずっと気になる店になっていた。
そしてこの夏、その気になる、つまり「いいね」=「いつかは」欲をMAXにしてくれたのが
その名も「もも」。
果物の桃は、数年前まであまり気軽に買えない果物の代表だった(私の中で)。
高価、当たり外れが大きい、せっかく買ってももったいなぶって美味しいタイミングを食べ逃す、そんな超絶小市民が露呈しやすい果物だったのだ。
「いいもん、私には無花果がある!」という訳の分からない言い訳も存在していた。
しかし、コロナ禍以降だろうか。果物にお金をかけることに少しハードルが下がってきた。
そこで目にしたこのスイーツ「もも」。
職場が近江屋洋菓子店に近い友人に、この商品を知っているかたずねたら、
すでに購入してその感動を体験済だという。
これが私の憧れにさらに火をつけた。
SNSでは、つやつやのコーティングがされた、立派な「もも」の写真とともに、
「もも」いっぱい作れました! なんて情報が毎日のようにアップされる。
そこで、先日、外出前に電話をかけ、取り置きをお願いした。
その日、パンフレット編集を担当していた公演『HEISENBERG』の千穐楽を観劇した後、
途中下車をして、近江屋洋菓子店に向かった。
日曜の淡路町界隈は人影もまばら。
しかし、店内のガラスケースの前にはずらりと列ができていた。
ご予約受取の方は右へ、直接購入の方は左へ列が促されていて、
私はちょっと得意気に右列に並び、予約した「もも」を購入しに来たと店員さんに告げた。
そうして、憧れのつやっつやのまるっまるの「もも」を持ち帰った。
さて、夜になり、いざ、実食。
それはまさしく「もも」であった。
小さなフォークとナイフを使って、カットしながら食べる桃のスイーツ。
中にはカスタードが品よく詰まっている。
カットした桃の実にカスタードを合わせて口に入れると
「いかが? スイーツは甘ければいいってもんじゃないこと、おわかりですよね?」
と言われている感じがした。
とてもおかしな表現だけれど、そう感じるのだ。
でも、あの桃特有の後味に桃の香りが口の中でふわーっと広がる感覚はあって、
まるっと1個贅沢に食べ終えた時には、なんとも言えない満足感で満たされた。
これで今年の桃はもう終わりですと言われたとしても納得できるような。
ちなみに、近江屋洋菓子店の「もも」の販売は8月いっぱいで終了予定。
仕入れの具合によっては、数に限りがある時もあるようだ。
さて、こうした満足感を得た私の目下の悩みといえば、
「もも」の後に来るであろう、また別のおすすめスイーツがきっと気になるに違いないということ。
でももちろんお店のSNSのフォローをはずすつもりは今のところない。