日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
文化庁子供文化芸術活動支援事業に当選して、帝国劇場で『マイ・フェア・レディ』を小6の姪と観たのは、昨年11月のこと。
ふたたび文化庁子供文化芸術活動支援事業に当選して、シアタークリエでミュージカル『モダン・ミリー』を中1になった姪と観てきた。
今回の文化庁子供文化芸術活動支援事業は18歳以下は無料、同伴者は6,000円で観劇できるという内容。
元宝塚 宙組トップスターの朝夏まなとさん主演の『モダン・ミリー』は、2020年4月、全公演中止になり、今年3年ぶりの上演となったミュージカル。
帝国劇場で観た『マイ・フェア・レディ』でもう一人のイライザを演じていたのが朝夏まなとさんだということも話のきっかけになり、三度、姪を誘ったのだった。
6時間授業を終えた急いでやってきた姪と、劇場最寄りの有楽町駅で待ち合わせる。自宅の最寄り駅まで迎えに行かなくても済むようになったのは、彼女が小学生から中学生になった証。それだけでもなんか感慨深い。
終演は夜の9時になるので、小腹を満たし、開演15分前に劇場に到着した。
窓口で私の名を当選メールとともに告げると、何やら手配がされていないようで、
「少々お待ちください」と保留。
ちなみに本人確認のために、姪は生徒手帳を持参してきた。
少しして「ひょっとしてクリハラ……」と私が言いかけるとすぐに窓口から、
「クリハラ〇〇さん!」と姪の名が呼ばれた。
そうだ、今回は子どものための文化芸術活動支援事業だった。
大人はあくまでも付き添い。(年齢によるが)大人は一緒に観ても観なくてもいいのだ。
主役は子どもなのだから、私の名を言ったところで名簿はそちらで作られてはいなかったのだ。
そんなわけで、無事にチケットを引き換え、客席に向かった。
※以下、舞台に関するネタばれがあります。
『モダン・ミリー』は1967年にジュリー・アンドリュース主演の映画として公開。
2002年にこの作品が舞台化され、ブロードウェイで上演された。
舞台の設定は1922年。カンザスからニューヨークにやってきたミリーは、都会の洗礼!? を受け、無一文になってしまう。
そこで出会ったジミー(中河内雅貴)から、長期滞在型のホテル・プリシラを紹介され、そこで暮らし始める。
モダンガールに憧れつつ、お金持ちとの結婚を夢見て、仕事をさがすミリー。
仲間や憧れの人との出会いを経て、彼女の願いは叶うのか。
劇場に入ると、姪は舞台と客席との近さに驚いた。
前回は1897席の帝国劇場の2階席。
今回のシアタークリエは後方ではあるものの客席は609席だ。
それは興奮するというものだ。
まもなく開演というタイミングで、劇場の係の方が持っていたブランケットを姪に渡し、
お尻に敷いて席を少し高くしてくださいと声をかけてくれた。
姪より明らかに小さいお子さんには、もっと厚みのあるクッションを貸してくれていた。
子供文化芸術活動支援事業は、ただ「子どもに無料で見せる機会」なのではなく、
人によっては初めての観劇体験が、その日、その場所、その公演で、になることを踏まえてアテンドしてくれているのだろう。
舞台と客席との近さに驚いた姪と、オーケストラがステージ手前のオケピではなく、
舞台上の中段に位置していることについて、ひそひそ話す。
そして軽快な音楽で舞台は幕を開けた。
幕間にこんな会話をした。
「今年は西暦何年?」
「2022年」
「この物語の舞台は1922年頃、ということは何年前?」
「100年前」
「途中でミリーたちが捕まって留置場に一晩入ったけれどどうして捕まったかわかる?」
「……。お酒を飲んで暴れたとか?」
「うん、それもあったかもしれないけど、この頃はアメリカで禁酒法という法律が定められていて、お酒を飲んではいけなかったんだって。この先、歴史の授業を受けるようになったら出てくるよきっと」
その後、パンフレットを購入し、ページをめくりながらキャストのことや1幕を見て気になったことについて、ぽつりぽつりと話した。
(つづく)