日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
今、超絶欲しいスニーカーがある。
ジムに行き始める? ウォーキングをはじめた?
どれもNOだ。昨年、ブラックの冬用のごっつめのスニーカーを買ったし、数的にはたぶん足りているよね。
小さなシュークローゼットも今、なんとか無事に収まっている状態だから、必要なくない?
しかもそのスニーカー、あなたが気に入ってたブランドじゃないよね。
そのスニーカーがサイトに表示されるたびに天使と悪魔がささやいている。
スニーカーはなんだか律儀に同じブランドのものばかり履いてきた。
もうこだわる必要は何一つないのに、なぜか融通がきかない。
「あ、このデザインカワイイ~~」と思っても、そのブランドじゃないからという理由で
購入には至らずにきたのだ。
それはそれで抑止になっていてよいのだが、
そもそもスニーカーのデザインで「あっ、いいな!」と思うものはメンズの場合が多く、
だからこそいいなと思うものが見つかった時は、ものすごーく欲しいと気分があがって購入に至ることが多い。
今、超絶欲しいスニーカーは色が最高に好きだなぁと思えるものなのだが……。
そもそもスポーツブランドのものを、まったくスポーツをしない私が愛用することに
いつも「なんかすみません」感を持っている。
その原因はこれだ。
小学校高学年になっていた頃のことだ。
小学生の間ではスポーツブランドのハイソックスが流行っていた。
特にバスケやサッカーをしている子たちは、目立つタイプとかイケてる子が多く
(昭和の運動できる子、足の速い子がモテる伝説)
目立つグループの子たちは男女問わず皆、履いていた。
運動のうの字もない部類だった私は、そのバーンと目立つ色とデザインのハイソックスに用はなかったものの、あの厚手のソックスにはやっぱりどこか憧れがあった。
ある時、どういういきさつだったかはわからなが、私の元に某スポーツブランドのソックスがやってきた。
白地にワンポイント、そのブランドのロゴが入ったものだった。
長さもハイソックスではなく、ふくらはぎくらいまでの中長ソックスだった。
それを履いていた日のことだ。
おそらく校庭だったろう。クラスメートに「え、なんで栗原さんが〇〇履いてんの?」
と言われたのだ。
別にいじめを受けていたわけじゃない。どの子が言ったのかも、言われて私がどう返したのかも覚えていない。いや、面と向かって言われたわけじゃなくて、言ってたのがたまたま聞こえたのかもしれない。
細かいことは覚えていないけれど、それを耳にしたことはとても覚えている。
秘かには憧れていたスポーツブランドのそれを履けた嬉しさの反面、自分でも少し違和感があったからだろう。
本当に超がつくほど運動が苦手だったからだ。
もちろんその後もそのソックスは履いたし、重宝した。
でも新たに購入をせがんだかといえば、その1足で十分だよと思ってせがんだりもしなかったような気がする。
そもそもせがめば買ってくれる家ではなかったしね。
今、超絶欲しいスニーカーがある。
SALEになっているけど、決して安いわけではない。
あの日履いていたソックスのブランドとは別のところのものだし、
いつも気に入って履いているブランドのものでもないけれど、欲しいなぁ。
あの日の誰かのように、私が私に言っている。
「え、なんで栗原さんが〇〇のスニーカー履くの?」
ペラペラと言い訳を並べて言い返しそうな自分を抑えながら、
「それもごもっともなんだけどさ……」とまたサイトを閉じた。