日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
今日はホワイトデー。「駅に出店していたGで始まるチョコレートショップ、行列になってたよ。皆、帰りに慌てて買うんだね」
そう話す夫は、やけに機嫌よく、「はい、ホワイトデー!!」と包みを差し出した。
自分は帰りではなく、昼休憩の時間に買いに行ってくれたのだという。
とても律儀かつ計画性のある人なのだ。
しかし夫はこう言ってはなんだが、どちらかといえばサプライズ下手である。
今日もクリッセイのネタになりそうなものを用意したといい、やけにウキウキしているのだ。
私は少し思う。クッキーの法則の話、前にしたよね?と。
「このクッキー絶対美味しいから食べて!」というと、美味しさのハードルがあがっちゃうから、「このクッキーとりあえず食べてみて!」くらいのテンションがいいという法則。
夕食後、開封タイムとなった。
箱が2つある。一つはチョコレート。もう一つは少し大きめの缶だった。
ここで思い出すのは、結婚前、夫からもらった初めてのホワイトデーのことだ。
今日よりもう少し大きい缶をもらった。それは、ホワイトデーのお返しというより、
客先に持参するような、贈答品然としている缶だった。
中には、ナッツとココナッツのクッキーが詰め合わせで入っていた。
ナッツとココナッツが好きだと言ってたからというどストレートなセレクトで、結果それはもちろん美味しく食べた。
Gからはじまるチョコ屋さんで買わない感じが、アマノジャクな私にぴったりだった。
さて、今宵のホワイトデーの缶に戻ろう。
包みをあけると、出て来たのは、フーシェの「アマンド ロワ」というクッキーの詰め合わせ。
自信たっぷりの顔で
「舞台『アーモンド』が昨日無事に終わったというのに掛けて、アーモンドクッキーです!」
サプライズが下手過ぎて、リアクションが薄くなってしまったけれど、
実は結構、じーんとしてしまった。
偶然なのだけれど、『アーモンド』の最後の場面で、シム博士(今井朋彦さんが好演)がユンジェ(千穐楽は眞嶋秀斗さん)に言うセリフの中に、
「プレゼントをあげる前から中身を先に話してしまう人がいるけど、私はそういうのはすごく嫌いなんだ。でも……」というところがある。
あげるほうがつい言いたくなっちゃう感じが似ていた。
中身はいろんな形状のアーモンドやナッツがアレンジされたクッキーだった。
一晩一種ずつ、ゆっくり食べることにしよう。
そして、実はもう一つのチョコレートもしっかりネタになることが判明したのだが、
それはまた次の機会にしよう。