自分らしさ、暮らしやすさを提案するらしく・おうちと整理研究所 主宰の柳澤とも子が、夫婦で手塩にかけて作る庭と植物についてつづるガーデンフォトエッセイ。
日本の旧暦では11月は「霜が降る」ことから霜月と呼ばれました。
私は宮城県育ちで、11月の通学路は霜の降りた植物を毎朝目にしていました。
「寒くないかな?早くお日様に温めてもらってね」
そんな気持ちになったことを思い出します。
今年は暑さが落ち着かない本当におかしな秋です。
文化の日の昼間に夫がTシャツで外食に出かけていました。
と思えば、急に冷え込んできたので、同じ週にガスストーブを初めて点火しました。
庭に出ると、これまでに経験のない異変に気が付きます。
こぼれ種で生長しているハーブたち、そしてバラの様子がいつもと違います。
畑のコリアンダーやバジル。私達はコリアンダーとバジルを料理に使うのが好きなので、春から夏にかけて、葉を収穫しながら、毎年種子ができるまで育てています。
そのこぼれ種が、この時期に発芽して生長していました。
コリアンダーを一部収穫してみましたが、立派なコリアンダーで香りも良く、夫は喜んでお酒のつまみにしていますが、冬越しが難しいので心配です。
ホーリーバジルも初めて見る伸び方です。
毎年春先に満開になり、素敵な香りとともに、こぼれ種でどんどん増えて、色々なところで庭を彩ってくれるのですが、もう大量に芽が出てきました。これからの生長が不安です。
ステビアもこの時期になると、冬越しモードに入るのですが、今年はまだ花を咲き誇らせてどんどん大きくなり甘い香りを届けてくれています。
一方でバラに目をやると、四季咲きのバラは花をつけています。四季咲きとは言え、この時期になると葉を落として冬支度をするのですが、花をつけ、新しい枝と葉が生長しています。春咲きのつるバラもどんどん枝が伸びていきます。
バラも赤い新しい葉がどんどん出ています。花も大きく鮮やかです。
どれもこれも、今までは春に見てきた光景です。
これから一気に寒くなりそうなので、このまま開花とはいきません。中途半端に生長して、それが春先にどう影響するか少し不安です。
また、こういった異常気象になると、野菜の価格が高騰したりしますが、庭の植物のいろいろな姿を通じて、問題をとても身近に感じるとともに、日本の四季がここに住む私たちにとっても植物にとっても大切なサイクルだと実感します。
植物の見たことのない生長に心配は沢山ある一方、庭造りを通じて植物の強く逞しく柔軟な生命力を学んできました。来年もまた元気な姿を見せてくれて、それを皆様にご報告できることを信じています。
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