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ふたりは屋根裏部屋で/さとうまきこ

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アトリエM_こばやしいちこによるオリジナルブックレビュー。たくさん読んだ本の中から、読者におすすめの一冊をご紹介します。

ふたりは屋根裏部屋で/ さとうまきこ

この本は、私が小学生の頃に出会い、大好きだったお話。
学校の図書室で見つけ、何度も借りて、そのあと家の近くの図書館でも借り、今思えば、
そんなに好きならお小遣いを貯めて買えばよかった……

主人公のエリは小学5年生の女の子。あと1年で卒業、というときに、父親の仕事の都合で静岡県伊東市のマンションから東京へ引っ越しを余儀なくされた。離れたくない仲良しの友人もいたし、東京へなんか行きたくなかったもんだから、エリは引っ越しが決まってから、引っ越し当日の車の中までずっとぷんすかしていた。でもそれも、東京の新しい家を見るまで。なぜなら……屋根には煙突、白い壁にはつたがからまり、新しい家は、まるでおとぎ話に出てくるようなすてきな家だったから。

エリたち家族の新しい家には、鍵のかかった屋根裏部屋があった。大家さんに、決して開けてはダメです!ときつく言われていて、それを条件に格安の家賃で住めることになった。もし私だったら、なんか気味が悪くていやだな……と思ってしまいそうなこのことも、好奇心旺盛なエリのご機嫌を直す要因となった。そしてある日、両親が出かけていて、エリがこの家に1人でいるとき、止まっていたはずの柱時計が鳴り響き、屋根裏部屋の鍵があいたのだ。その部屋は、50年前、この家に住んでいた、エリと同じ年の女の子ルミナの世界とつながっていた。

当時小学生の私は、夢中で読んだのを覚えている。両親は仕事で、兄弟も遊びに出かけてしまっている静かな家で1人。ちょっと怖かった。けれど同世代の女の子の冒険、感情移入しまくりだった。

この本には、今じゃあ信じられないのだけど、なんと作家の先生のご自宅の住所が書いてあったの。だいたい、ファンレターは出版社とかに送るよね?でもご自宅……この本に感動した少女こばやしは、先生に伝えたくて、もちろんお手紙を書きました。出版社にだったら、もしかしたら書かなかったかもしれない手紙。なんと、先生からお返事が来たの!

素敵な花のカードに、手書きの小さな字でびっしりと書かれたお手紙。
「本を書く仕事をしていて一番うれしいのは、こうして読者の方からお便りをいただく時です。全部、赤いリボンをかけて、大切にしまってあるのよ」(お手紙ソノママ)
で始まるその手紙には、私が感動したこの本を書くに至ったきっかけや、ご自分の息子さんのこと、そしてきっと私が、自分も小説を書いたりしてる~なんて、ファンレターに書いたのだろう。それにも触れてくれたりして。(恥ずかしい。小学生の頃のことだから!)そう、当時私は書いていた。自分一人でも書いたりしていたけど、友人と、ノート1ページずつ交代で、その後の展開を決めずに1つの長いお話を作ったりして遊んだこともあった。確か、7つの不思議な石が出てきたような……?どこかで聞いたような……?

そして、お手紙は、「お母さんにもよろしくね」で締めくくられていた。
すごくうれしかった。宝物になった。今も大切に持っている。

もしかして、一番本を読んでいた時代かもしれない。この本は、先生からのお手紙もあわせて私の大切な少女時代の思い出だ。

文・こばやしいちこ
小さな頃から本が好き
映画が好き
美味しいものが好き
おせっかいに人に勧めたがり
愛犬・さくら(黒のトイプードル)を溺愛しながら、
毎日なにかしら本を読んでいます。

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