日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
映画館で舞台作品を観た事はある?
最近は上演中の作品がライブ配信される機会も増えたけれど、
まだ経験したことがない人も多いことだろう。
渋谷の映画館でナショナル・シアター・ライブ版の舞台『リーマン・トリロジー』を観た。上映時間は、休憩を含む221 分。とても見応えのある、でもまったく飽きることなく釘付けになれる作品だった。
世界的な投資家リーマン一家が米国に移住した1844 年から2008年のリーマン・ショックが起こるまでの3世代にわたる栄光と衰退を描く舞台で、ナショナル・シアター上演時にはチケット完売を記録した注目作。主演の3人が約3時間にわたり、150 年以上にわたるリーマン家の歴史を演じ切る。(ナショナル・シアター・ライブ ホームページ掲載より)
作品自体のレビューはこんな感じ
この作品、整理収納アドバイザーだったら、心をくすぐられまくる演出があった。
それは舞台美術としてバンカーズ・ボックスが多用されていたこと。
バンカーズ・ボックスと言えば、代表的な収納用品の一つだ。
シンプルなデザイン、丈夫で積みやすく、管理しやすい工夫がされているので、
オフィスで使われる例も多い。
その名の通り、銀行で書類管理に使うために作られたものだから、リーマン・ブラザーズの歴史を描く作品の中で使われるのは、特に納得がいく。
劇中で、バンカーズボックスはとてもとても大事な役割を担っていた。
あらゆるものに「なる」のだ。
ピアノ、デスク、荷物、椅子、馬車、証券所、ビル、演台、綱わたりの両サイド
モノとして「なる」だけでなく、足元で飛び石の敷石みたいになったり、
リーマン・ブラザーズに訪れるショックを予感させる揺れを表現するのに使われたりもする。
見逃しているだけで、もっといろいろあったかもしれない。
片付けの場面では、収納用品が本来と違う使い方をされていたら、
例えば、収納ケースの上が一時置きスペースになって、そこにどんどんモノが重ねて置かれたりしちゃうと、
設置場所や、そもそもの使い方の見直しが必要になるけれど、
舞台の上では、バンカーズボックスは何にでもなれて正解。
この箱が何に見える? と聞いたら、演出家や舞台美術の人は、無限にイメージできるのかもしれない。