日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
再演される度に観たくなる作品がある。
目にする度につぶやきたくなる言葉がある。
こまつ座の『頭痛肩こり樋口一葉』だ。
現在、新宿の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演中で、
行きたいな、行くだろうな、やっぱり行く……で行ってきた。
この時期に上演されるのには意味がある。
この作品は明治23年、樋口一葉こと樋口夏子が19歳の盂蘭盆から、明治31年、夏子の母 多喜の新盆までの盆の16日が舞台なのだ。
日本の暦は旧暦と新暦があるので、そのズレは地域によってあるものの、たいてい8月のお盆の時季にこの作品が上演されるので、舞台上から線香の匂いがしてくるような気持ちで観ることになる。
初めて観たのは、こまつ座の第100回公演で、一葉を小泉今日子さんが演じた。
次は2016年、永作博美さん、そして今年、2022年の一葉役は貫地谷しほりさん。
こまつ座第143回公演とある。
はぁ~、歴史。
こまつ座公演は、観客の年齢層がとびきり高い。
この作品はこまつ座の旗揚げ公演だったそうなので、上演される度に観てきた猛者もきっといるだろう。
何度も観たくなる作品だし、何度観ても大切なことをちゃんと思い出させてくれる。
当たり前のことなのに、簡単に忘れてしまうような大切なことを。
ロビーで井上ひさしさんのあのゆれる自戒の一部が書かれたトートバッグが販売されていて、思わず購入した。
トートバッグは足りている。今のところ使うことはなさそうだ。
でも、すぐに部屋の見えるところに飾った。
「額に入れた色紙なんてたいそうにしなくていいよ、
これならそこらへんに気軽に引っ掛けておけるでしょ」
なんて井上ひさしさんに言われているような気が勝手にしていて、とても気に入っている。