理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。
チーム義母が集合した日だった。
デイサービスの施設長さん、ヘルパーのリーダーさん、ケアマネージャーさん、
そして私たち夫婦。
チーム義母という名の5者会談は、当人のいない時間帯にひっそり行われた。
現状の報告は、日頃からマメにしていただいているので、大きな認識違いはない。
90歳を過ぎた義母の出来なくなっていること、不安視されること、
対策をとっているからこそひとまず安心出来ていることなどをそれぞれの立場から発言し、
共有する。
とても有意義で大切な時間だ。
デイサービスでの義母の様子を聞くのは新鮮だ。
義母はそこに行くのを「学校に行く、お勤めに行く」と捉えている。
私が行く曜日と日曜日を除いて毎日通っているのだから、まさに学校だ。
そこでの様子を聞くのは、親御さんがお子さんの学校での様子を聞くのに少し似ているかもしれない。
報告と相談と検討材料もろもろを含め、小一時間の会談は終わりにさしかかった。
そこで、施設の方が出してくださったのが、最近の学校、もといデイサービスでの成果物。
レクリエーションで勝利した時のメダルや写真などはこれまでもあったが、
「年初に書いてもらった絵馬です」と、出されたものを見て驚いた。
義母が紙の絵馬に書いたのは
「大事業に集中したい」
想像もしない文字が並んでいる。
義母は教師だったから、授業ならわかる。でもそうではない。
しかも、大事業である。
うまくいきますように……とかならわかる。でもそうではない。
集中したい、のである。
最近義母に年齢をたずねると、時には26歳なんて答えることもあるのだけれど、
学校に行くといっても、義母は生徒になった気でいるわけではないのだ。
やはり勤めにいっている感覚なのだろう。
義母にとっての大事業とは果たしてなんだろう。
集中したいと書くということは、ここではなかなか集中できないから、
みたいな軽いディスりも入ってるわけではない、よね?
力強く書かれた文字を見て、5者会談をしたチーム義母のメンバーは、
わかりやすく認知症状が進みそうな道を避け、でも現状を良しとはせずに少しのトライをすることに決めた。
こちらは大事業とは言わないし、言えない。
目の前のことを少しずつ……だ。
でも、こうして義母に関わってくれる人がいることを実感すると、とても勇気が出る。
5者会談の後、普段なかなか出せない不用品を、クリーンセンターへ持ち込んだ。
たいてい不機嫌に誘導され、事務的に対応されるイメージだったのだが、
今日、対応してくれたクリーンセンターの方は、皆、とても親切だった。
それも義母に関わってくれる人たちみたいに思えて、やけにありがたく思えた。
大事業は何かはわからないけど、大事なことには気づけたそんな日だ。