日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
「わけるくんインストラクター養成講座」の講師として講座を担当している。
その講座の中で、わけるくんシールの使い方を説明するターンがある。そして、受講者の皆さんには、さっそく使ってもらう。私も必ず一緒に使う。
イメージとしては「気分でわけるくん。」と同じで、その日の気分や気になることでわけてみたり貼ってみたりする。
6月初旬の講座で私が作ったのはコレ。
理由は「傘を新調したいとずっと思っているから」だった。

その傘はもうずいぶん前に購入した。
時期は忘れてしまったが、購入場所と選ぶ時に誰が横にいたかは覚えている。
今はなきプランタン銀座のエントランス前の特設傘売場だった。
傘売場でよく見る、片っ端から開いては悩み、さしてみては悩みするあれにつきあってくれたのは、学生時代からの友人。
少し大人っぽいデザインで、ブルーが地の色だけれど、そこに黄色とモスグリーンが入っている感じが私の好きな色味だったので、これに決めた。
本当にあれから何年経ったのだろう。
どこかのタイミングで別のイギリス好きの友人が「傘、ヴィヴィアン・ウエストウッドのなんだね。いいね」と言ってくれた。
実は私はそれを知らずに使っていた。ブランドには本当に疎いのだ。
銀座で買ったからそれなりにいいものという認識はあったし、現に丈夫で上品で気に入っていた。
それに加えて単純な私は、♪やっぱいいよね~ヴィヴィアン・ウエストウッドだし~
みたいになりご機嫌で使い続けてきた。
折り畳み傘を使うことも多いので、長傘は壊れることなく何年もが経過していた。
でも、実は傘の先、石突きの部分はプラスチックのカバー部分がどこかのタイミングで取れていたし、手元のハンドルの合皮部分が剥げて無残な姿になり始めていた。
どうしていたかというと、マスキングテープをぐるぐるぐると巻き付け、程よくアレンジして使い続けてきたのだ。
マステアレンジが好きだし、ヴィヴィアン・ウエストウッドだし、好きな色合いだし、壊れていないし……。
もう整理収納アドバイザーなら、「キーーッ!!」となるような理由が並んでいるだろう。
そう、私は捨てられない人の気持ちがわかる派の人間だ。
それにしてもハンドルのみすぼらしさは増していた。マステがボロくなると、別のものに巻き直すのだけれど、ちょうどいい色のマステの在庫がなくなり、つぎはぎ感が目立つようになった。さしている時はいいのだが、これを傘立てに立てる時が情けない。
いい傘があったら欲しい、いっそ風の強い日に使って壊れてくれないかな。
整理収納アドバイザーなら、ここまで読んで二度目の「キーーッ!!」となる人もいるかもしれない。わかってくれとは言わないが、そういう人もいるんだよねという実録。
さて、「わけるくんシール」に戻ろう。
6月の梅雨シーズンであることと、何より気になっているという理由からシールで傘を描いた。黒のシールをハンドルの近くに貼ったのは、モヤモヤの原因だから。
講座は楽しく、つつがなく終了し、夜になって夫にそのシール作品を見せた。もちろん理由もつけて。
すると翌日だったろうか。
誕生日祝いのプランをこう提案された。
映画を見て、傘を買いに行って、その後食事をしよう!
最初は傘専門店として有名な自由が丘のお店を提案されたのだが、自由が丘は私にとってあまりにも馴染みがなく卑屈になってしまう町なので(あと家から遠いというのもある)、御徒町の傘専門店「東京ノーブル」を逆提案した。
誕生日前の日曜日、予定通りのプランで新しい傘を迎えることができた。
これまでの傘と比べてさしてみるとちょっとだけ小ぶりかも?
でもこれでようやく、長年愛用してきて、でも最近はちょっとモヤモヤの種だった傘とさようならが出来そうだ。
調べてみたら、プランタン銀座は2016年に閉館し、マロニエゲート銀座に名前を変えた。傘を買ったのはプランタンの頃だったから、少なくとも9年の月日が経過していたことになる。いや、たぶん、きっともっと前な気がする。
本当にありがとう、の気持ち。
「東京ノーブル」は傘専門店。壊れたら修理も受け付けてくれるそうだし、ハンドル部分をカスタマイズすることもできる。また長く使うことが出来そうだ。
こんな風に気になっていることがあって、それを具体的に表現してみる、それを話して伝えると、行動につながる。
「わけるくんシール」にもありがとうを言おう。
この記事を書いている途中で、月に一度の有価物回収車が来た。
朝一番でわが家も割れた皿や電池などをステーションに出していた。
いや、待てよ、あの傘捨て忘れてるっ!!