自分らしさ、暮らしやすさを提案するらしく・おうちと整理研究所 主宰の柳澤とも子が、夫婦で手塩にかけて作る庭と植物についてつづるガーデンフォトエッセイ。
今年の秋は、あっという間に過ぎていきました。例年なら少しずつ色づく木々が、今年は一気に紅葉し、庭じゅうが落ち葉のじゅうたんです。
掃いても掃いても、また新しい葉が風に乗って舞い込み、きりがありません。けれど、そんな「散らかり」の中にも、どこか穏やかな風情があります。赤や黄色、茶色の葉が重なり合い、陽に照らされてカサカサと音を立てる様子を見ると、季節がひとつ進んだと実感します。
そんな中で、ひときわ目を引くのが紅葉した山あじさいの葉。秋の終わりには深い赤やワイン色に染まり、思いがけない華やかさを見せてくれます。あまりにきれいなので、いくつか枝を切って室内の花瓶に飾ってみました。落ち着いた色合いが部屋の空気にしっとりと溶け込み、外の冷たい空気とは対照的な、あたたかい雰囲気をつくってくれます。
庭全体は少しずつ静けさを取り戻していますが、冬に向けての彩りも見え始めました。冬咲きの菊が花をつけはじめ、寂しくなった庭に小さな明るさを添えています。ただ、今年は少し油断して茎が伸びすぎてしまい、花が風にあおられて倒れ気味。もう少し切りそろえておけばよかったなと、来年への反省もひとつ。
さらに、足元には冬を感じさせる新しい気配も。庭石のすき間から、ヒメツルソバが赤い小さな花を咲かせています。寒さにも負けず、まるで冬を歓迎するように咲くその姿に、なんだか励まされる気持ちになります。ただ増えすぎてしまうと要注意の花なので、適度に管理は必要です。
季節の移ろいは、整理収納にも通じます。庭が落ち葉でいっぱいになるように、暮らしの中でもいつの間にかモノが積もっていくもの。でも、その「散らかり」をただの乱れと捉えず、そこに季節や時間の流れを感じ取ると、少し見え方が変わってきます。
靴箱の下や子供のおもちゃ箱の奥に、いつの間にか転がっているどんぐりや木の枝。子供が忘れてしまっていても、夢中になって拾ってきた日の名残りだと思うと、捨てずに飾りたくなってしまうことも。
すぐに片づけようと焦るのではなく、一度立ち止まって「この散らかりも悪くないな」と眺めてみる。そこから次の整え方が見えてくるのかもしれません。
※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

