Tea and・・・ PR

ちょっとだけ素直になれる魔法

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紅茶コーディネーターのイノチカが、さまざまな角度から紅茶と共に過ごす時間をご提案するオリジナルエッセイ。

好きなのは紅茶を愉しむしあわせな時間と空間。
一人の時もあれば、大切な誰かと一緒の時も。自宅をはじめ居心地の良い場所でのTeatime。
私の人生の中で、紅茶と紐づく記憶は、いつもしあわせと結びついています。
暮らしに紅茶を取り入れて、日常にもっともっとしあわせな時間を増やしていくことができたなら……。
紅茶にまつわるあれこれを綴ります。どうぞ紅茶を片手にお付き合いください。

《Tea and・・・ちょっとだけ素直になれる魔法》

私が「紅茶が好き」と意識するようになったのは、美味しい紅茶の淹れ方を学び、家族や友人に喜んでもらえた経験もありますが、それ以上に、紅茶とともに過ごす時間そのものの価値に気づいてから。
効率やスピードが求められる日々の中で、ティータイムは私にとって大切なゆとりの時間。ふと立ち止まることで、見えてくるものがあります。なぜだかよくわからないのですが、紅茶には心をほどく魔法の力が宿っているようです。今回のシドニー旅行でも、娘とのティータイムで思いがけない気づきがありました。

機中泊を含む5泊6日の旅。久しぶりの海外ということもあり、私にとってはすべてが新鮮でした。電車やバスを乗り継いで、娘の留学先のキャンパスやバイト先を訪ね、オペラハウスや白い砂浜のビーチなどを巡り、もちろんショッピングも楽しみました。ちょっと欲張り過ぎ?なスケジュール。
オーストラリアに来てまだ3カ月の娘も、普段は授業に追われて観光する余裕がなく、初めて訪れる場所が多かったようで、学期の合間の休暇を一緒に過ごせることを嬉しそうにしていました。

そんな中、買い物で歩き疲れた私たちは、QVB(クイーン・ビクトリア・ビルディングQueen Victoria Building)内でたまたま見つけたカフェで一息つくことに。
英語が得意でない私は、「なんて書いてあるの?」と娘に尋ねながら紅茶を選ぼうとしていたのですが、娘はどこかつれない様子。ふとメニューを眺めている娘の表情が曇っていることに気がつきました。


どうしたのかしら…と気になりながら、英語だらけのメニュー表に苦戦しつつ選んだアールグレイの紅茶を娘に注文してもらい、運ばれてくるのを待ちました。
思いがけず鉄瓶で提供された紅茶に戸惑いながらも、アールグレイの香りにひと安心。
慣れない異国でやっぱりどこか緊張していた私は、なじみの紅茶の香りにふうーっと肩の力が抜けました。

一緒に紅茶を頂きながら「結構歩いたね」と娘に話しかけると、
「なんか疲れた…」と心の内を話し始めました。

そうでした。娘は日本人が誰もいないキャンパスで日々緊張の連続。久しぶりに会えた母に甘えたい気持ちもありながら、英語ができない私の代わりに観光ガイドとして通訳し、注文し、調べて予約し…ずっと気を張ってくれていたのです。
日本にいた頃よりも英語が上達した娘の姿に頼もしさを感じ、安心していた私は、いつの間にかすっかり頼りきっていました。

紅茶をいただきながら娘の話を聴いているうちに、胸がじんわりと熱くなりました。
限られた時間の中で自分がアテンドして母を楽しませたい気持ちと、娘として少し甘えてリラックスして過ごしたい気持ち。そして、あと数日でまた一人に戻るという複雑な思いが、娘の言葉の端々から伝わってきました。心の奥には、言葉にならない思いがいくつも揺れていました。忙しいと、ついつい自分でも本音が見えなくなってしまいます。

この日の午後はゆっくりと時間を取ることにして、今までの話をたっぷり聴くことができました。
紅茶のリラックス効果に助けられて本音を話せた娘は、次第にいつもの元気な表情に戻っていきました。
遅ればせながら娘の頑張りに気づいて、ありがとうの気持ちを伝えた後、私も拙い英語で店員さんとやり取りをしたり、翻訳アプリを使いながら自分で調べてみたりと、海外ならではの体験に挑戦。そんな私を「ママの英語、なんかへん(笑)」と笑いながらもフォローしてくれる娘が頼もしく、たまらなく愛おしく感じられました。

そんなわけで、QVBでのティータイムは歩き疲れた体を癒すだけでなく、紅茶のおかげで娘の素直な気持ちを聴けた大切な時間となりました。

そろそろ紅茶のお代わりはいかがですか?
忙しく頑張っている人が身近にいたら、そっとティータイムに誘ってみるのも素敵です。一杯の紅茶が、心をふわりとほどいてくれますように。

ライフイメージコンサルタント・ 整理収納アドバイザー・紅茶コーディネーター。
紅茶好き。でも、どんな暮らしをしたいのかを模索する中、理想の暮らしを手に入れるためのゆとりを創り出す整理収納と出会い、本当に好きなのは紅茶を愉しむ時間と空間だと気づく。私にとってTeatimeは小さなしあわせを感じ、人生の大切なことに気づかせてくれるゆとりの時間。今日も紅茶を片手にしあわせなひと時を過ごしている。