三階席から歌舞伎・愛 PR

初春大歌舞伎_にらみにて 無病息災 初歌舞伎!

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歌舞伎をほぼ毎月楽しんでいる60代男性。毎月観るために、座席はいつも三階席。
印象に残った場面や役者さんについて書いています。

2026年1月3日。東京大神宮に初詣に行き、御祈祷後に新橋演舞場「初春大歌舞伎 昼の部」を観劇に行きました。
三が日ということもあり、着物で観劇に来られていた方も多々おられ、正月らしい雰囲気が漂う中での観劇となりました。
今年初の歌舞伎を新橋演舞場に決めたのは、昨年、体調を崩したこともあり、縁起を担いで、市川團十郎さんの「にらみ」を拝見し、一年間無病息災を願おうと思ったからです。
(もちろん初詣でも祈願してはおりますが……)

一、操り三番叟

操り人形が五穀豊穣、天下泰平を祈って踊る舞踊です。
三番叟の市川右團次さんと後見の市川九團次さんの息の合った動きが見ものです。
舞踊の名手、市川右團次さんが操り人形のように動きます。表情も顔や頭の動きも浄瑠璃の人形みたいです。
三番叟が顔を下にして倒れ、後見が引っ張り上げて起こそうとすると、三番叟が腕を動かすのに合わせて後見が引っ張る動きをする。あたかも糸でつながっているかのように動きます。稽古を積んでお互いの動きを理解しあった役者同士ならではの動作です。すごいなぁと感心しました。

二、鳴神

成田屋の誇る歌舞伎十八番のひとつ、鳴神の鳴神上人を、中村福之助さんが演じます。
巡業でも「新春浅草歌舞伎」でも自主公演でもなく、若手がこうした大役を任されるのは珍しいなと思いました。團十郎さんの指導のもと、福之助さんがしっかり演じておられました。

三、熊谷陣屋

歌舞伎座でも度々上演される有名な演目です。初めて観劇したのは、平成25年4月、歌舞伎座で、中村吉右衛門さんが熊谷直実を演じた舞台でした。
演じる役者さんにより演じ方も違い、吉右衛門さんは、悲しみを内に秘めた表現をされていたと感じました。

源義経の命により、後白河院の落胤の平敦盛を守るため、身代わりとして自分の息子の小次郎に手をかけ、首実検の場では平敦盛の首として小次郎の首を差し出します。
全体を通して、熊谷直実の悲しみの表現について、やはり團十郎さんの持つエネルギーが強力なのか、悲しみを内に秘めようとしてはいても、体中から悲しみが湧き出てしまう。悲しみの温度が熱いように感じてしまいました。
静かな、内に秘めた悲しみの表現もいいですが團十郎さんから感じた、内に秘めようとしてもあふれ出てしまうというか温度の高さを感じてしまう表現も、他の役者さんとはまた違った味わいがあると思いました。

四、寿初春 仕切口上

初春の市川團十郎の興行といえば、やはり「にらみ」を何としても観たいと思います。
はじめに、正月らしく獅子舞から始まり、おかめとひょっとこの舞が終わったあと、「にらみ」に移ります。市川團十郎に「にらまれる」と、一年無病息災で過ごせるといわれています。もちろん三階席から、オペラグラスでガン見しました。
驚いたのは、この仕切口上の直前に、目の前の空席にこれのみを観る為にお客様が入ってきたことでした。正月歌舞伎ならではの「にらみ」を観る為だけにチケット購入とはなんとも太っ腹だなぁと感心し、今年初めての歌舞伎観劇は終了しました。

「にらみ」のご利益をいただき、今年もいろいろな演目を観劇したいと思います。

CHECK!

その他の歌舞伎レポートは、エンタメターミナルの記事
歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」レポートをご覧ください。

文・片岡巳左衛門

47歳ではじめて歌舞伎を観て、役者の生の声と華やかな衣装、舞踊の足拍子の音に魅せられる。
以来、たくさんの演目に触れたいとほぼ毎月、三階席からの歌舞伎鑑賞を続けている。
特に心躍るのは、仁左衛門丈の悪役と田中傳左衛門さんの鼓の音色。