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遠き学府よ

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

京都で予約して行きたい場所があった。その目的地は京都大学、そして吉田神社のそばにあり、最寄り駅から結構ずんずん歩きながら、京都大学の正門前を通って行った。

こんな言い方もどうかと思うが、テレビでしか見たことのない場所だった。
最寄り駅からの道を歩いている人、特に若者は皆、京大生に見えた。

目的地からの帰り、再び通った正門前はものすごい学生の数だった。
ちょうど講義が始まる時間帯の前後だったのだろうか。
デモでも始まるのではないかと勝手にドキドキしながら、観光客丸出しで写真を撮る。
正門前には誘導のガードマンさんがいて、車が通る度に学生を交通整理するため
大きな声をかけていた。

ものすごい数の学生の大半が自転車で、誘導の声には少しも耳を傾けない。
これは実は京大名物なのか!? と思うくらい、
これはロケで、皆エキストラなのか!? と思うくらい
車を気にせず横断する自転車たち。

でもここで私は薄々気づく。
そう見えているのは思い込みなのだと。
京都大学生、優秀、型にハマらない、東大より自由で個性的。
これらはもう今まで見てきた情報番組やらエンタメやら、なんなら見てもいないものも含めた思い込みなのだろう。

京都大学が出てくる作品で思い出すのは『鴨川ホルモー』。
万城目学さんの大ヒット小説で、2009年に映画化、そして舞台化もされた。
この作品の印象も、京都大学とか京都の学生のイメージとしてどこかにインプットされていたに違いない。
思い込みって怖い。

『鴨川ホルモー』が強く印象に残っているのは、当時編集に携わっていた媒体で、
主演の山田孝之さんにインタビューする機会があったことも関係している。
山田さんは次の作品のため、落ち武者のような長髪。
人気俳優さんのため、取材はたしか7社合同だった。
しゃべり始めはぼそぼそっとしていたと思いきや、素晴らしいサービス精神で、過不足なく質問に答えてくださった。
ここでの合同取材の経験は、私の編集&ライター歴の中で結構強く印象に残り、
結果、今に生きていたりもする。

そういえば、そのインタビューの中で、撮影中、京都の町の方に「京大の学生さんや」と間違われたのが嬉しくもあり、きまづくもあったという話があったっけ。
するするとそんな記憶も手繰り寄せられたくらいだから実は京都大学の前を通るのは嬉しかったのだ。

その日の目的地であるところからの予約確認メールには、早く着いた場合には、待ち合い場所がないので、神社の境内や京都大学キャンパスなどを見学するように書かれていた。
フフフ、京大キャンパスに入っちゃう? などと思っていたけれど、
実は予約時間の5分前ギリギリ着になったので、そんな余裕はなかった。
行きは京大前をほぼ駆け足で過ぎていたのだ。

では帰りはどうしたかといえば、大満足の見学を終えた後は、とにかく腹ペコモードだった。
何を食べるか、どこで食べるかばかり考え、来た道を戻った。
時間に余裕があったら京大キャンパスに入ってみただろうか。
いや、たぶん、それは出来そうにない。
思い込みって怖いし、結構分厚いってことだ。