日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
参議院選挙の投票日の朝、9時頃。
投票所は近所の中学校だ。
グラウンドではいくつかの部活動の生徒がすでに動き出していた。
正門、いや裏門か?から入り、グラウンドを見ながら校舎の脇を通って、投票所のある武道場へ向かう。
その日は他校生徒も来る試合か何かがあるようで、
校舎脇に簡易テーブルなども出ていた。
いつもは人気がないところをトボトボ歩いていく感じなので、
なんとなくすでににぎわっている感じがいつもの投票日と違っていた。
中学生の男女とすれ違った。
青いジャージーの女子生徒はポニーテールだったろうか。
彼女より少し背の高い男子生徒は黒っぽいジャージー姿だった。
二人の着ているジャージーの色と背格好、距離のバランスが絶妙で、
しかも女子生徒がとても可愛かった、気がする。
彼女らの横をすれ違って、少し歩いたところで自然にこのワードが出た。
「アオハルだ!」「アオハルっ!」
ほぼ同時に夫もそう言った。
まるでマンガの1シーンみたいで、だから女子生徒が可愛かった、気がする。
と書いたのは、実は顔はほとんど見ていなかったが、
もう、そのアオハルな感じが1シーンとして成立していたのだ。
二人でそんな話をしながら、「気をつけよう、こういうこというの、なんか年寄りのハラスメントになるかもしれないから」などと言っている間に投票所に着いた。
いつも本当に恥ずかしくなる投票率のわが町だ。
投票所はガランとしている印象しかなかった。
しかし、昨日は列が出来ていた。
時間帯もあったのかもしれない。そういえば窓口が1つだけだったのもあるだろう。
それでも受付を並んで待つのは初めてだったので、なんだか新鮮だった。
一夜明けて、都道府県別の投票率を確認したら、
前回の参議院選挙よりポイントは伸びたようだが、
それでも断然下から数えたほうが早い投票率ではあった。
投票を済ませ、私は自宅へ、夫は出かけるため出口で反対方向に別れた。
実は入る時に、出口調査の人がいるのは目視していた。
でもきっと夫はそれをスーッと無視するか、「失敬!」みたいなポーズをして
協力しないと勝手に思い込んでいたのだが、
私と別れたその足で、出口調査に協力していた。
「なんだ、私、協力してみたかったのに」と、なんとなくチェッと思いながら、
さっき来た道を歩いて戻る。
出口調査に答えている夫が気になり、数歩行っては振り返り、また数歩行っては名残惜しい感じで振り返った。
それはそれでアオハルっぽい、マンガっぽい1シーンだったかもしれない。
私が自宅に戻り、間もなくすると、夫からメッセージが入った。
「出口調査に協力したよ!」
なんか、無邪気な感じだ。
そして次のメッセージはこうだった。
「アオハルの2人が業務スーパーの方へ歩いて行ったよ」
それを読んで、「ナイス続報!」と返信した私は、
リアルタイムのアオハルを全然謳歌出来なかったタイプの人間だ。
いろいろザワつく日々の中で見つけた、なんだかホッとする光景。
この先、選挙のたびに、アオハル探しをしてしまうかもしれない。