日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
連載_三階席から歌舞伎・愛が2カ月休載中ですが、私は私でご縁をいただき国立劇場にて、「第一〇四回 歌舞伎鑑賞教室 双蝶々曲輪日記-引窓-(ふたつちょうちょうくるわにっき-ひきまど-)」を観に行ってきた。
今回は二階席正面だったので、二階席から歌舞伎・愛、なんちゃって。
国立劇場は、今年10月で閉場し、リニューアル工事されることが決まっている。
再開場は2029年秋だそうだ。2029年ってだいぶ先だなー。なんか考えると怖いけど。
そんなわけで今回の公演も「初代国立劇場さよなら公演」と銘打たれていた。
歌舞伎鑑賞教室とは初めて歌舞伎を観る方に向けて、「解説 歌舞伎のみかた」というのが演目の上演前についているスタイルで、文字どおり歌舞伎の観方や専門用語、その日の演目の解説をわかりやすくしてもらえる。
上演される演目もあまり長すぎず、見やすいものがセレクトされている。
今回の「解説 歌舞伎のみかた」は、澤村宗之助さんがご担当。
舞台機構の仕組みや、用語を具体的に演じたりしながら見せつつ解説してくれるので、
はじめての方はもちろん、何度か歌舞伎鑑賞経験がある人も「そうそう、うんうん」と観ることができる。知っていてもうまく説明できないってこと、まあ結構あるからね。
それと8ページのしっかりとしたプログラムが無料で配られるのもまあ、なんというかさすが国立。
後半は軽めの演目解説があり、作品の大まかな設定や見どころを教えてもらえる。
私は「双蝶々曲輪日記-引窓-(ふたつちょうちょうくるわにっき-ひきまど-)」の簡単な作品解説を頭に入れてもいたので、今回はイヤホンガイドは借りず、事前の澤村宗之助さんの解説で十分に楽しめた。
なんと言ってもこの歌舞伎鑑賞教室の趣向でいいなと思うのが、舞台両サイドに電光掲示板があり、ここに義太夫の歌詞が表示されることだ。
義太夫は、あらすじというかト書きを歌詞にして歌っているので、その歌詞が読めると情景・様子がとてもわかりやすい。
歌舞伎鑑賞教室、オススメである。
さて、「双蝶々曲輪日記-引窓-(ふたつちょうちょうくるわにっき-ひきまど-)」。
そもそも「双蝶々曲輪日記」は全九段からなる長い物語だそうだ。その中の「引窓」というのは、八段目に出てくる物語。登場人物は少ない。
濡髪長五郎(中村錦之助)、母お幸(中村梅花)、南与兵衛後に南方十次兵衛(中村芝翫)、その女房お早(市川高麗蔵)
これがメインで登場する4名だ。
引窓というのは、開閉式の天窓のこと。綱を引くと窓があき、緩めると閉まる造りで、
これが場面の途中やクライマックスで大きく関係してくる。
インテリア好きにも結構刺さる、かも!?
濡髪長五郎は恰幅のいい相撲取り。右頬のほくろが特徴。
母、お幸との久々に再会に喜ぶのも束の間、何やらワケアリ。まあ、簡単に言うと殺人犯で追われている身なのだ。
一方、与兵衛は罪人を捕らえれば手柄を立てられると意気込む。
さて、長五郎は与兵衛に捕まるのか否か……。
解説を聞いてよくわかったのが、時間や季節について。
この物語には時間や日付がとても関係が深く、例えばこの物語が放生会の前日の出来事であること、日暮れや夜明けなど、ことが起こっている時間がポイントであることなど。
その解説の流れで「おやつ」という言葉のはじまりについても知ることができた。
日本の文化や歴史にも気軽に触れられるという意味でも歌舞伎教室、オススメだ。
国立劇場ロビーには、歌舞伎といったら!の鏡獅子の衣装をまとった六代目尾上菊五郎の彫刻が飾られている。平櫛田中作の彫刻。
これがものすごく迫力があって美しい。必見!
「歌舞伎、見てみたいんだよね……」というお声は私の元にも結構届くので、
7月24日まで開催中のこの歌舞伎教室、オススメである。