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好きと好きがつながった夜

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

生粋の久保田利伸ファンである。
今年デビュー40周年を迎える彼の音楽にデビュー当時からハマり、同時に彼がおすすめする音楽、例えば極上のR&Bやレゲエ、ボサノヴァをたくさん聴いてきた。
それがどれだけの長い月日だったかは、語りだすと止まらないけれど、例えばデビュー当時、久保田さんが歌うラップは、業界内でも「あの早口言葉みたいなやつ」とかって言われたらしい。
2021年、テレビで見た『THE FIRST』というオーディションのクリエイティブ審査で、RanReiと名付けた二人が披露した「♪Just FUN'ky」を聞いた時に、好きな音楽のジャンルに共通点があると思って嬉しくなった。当時まだ19歳のフィリピン生まれの彼が、音楽が好きという理由で応募してから驚きの成長を遂げた様子は、このオーディションの象徴でもあった。
本名、カドサワン・レイコ・カイオシ・サルシア、アーティストネームはREIKO、愛称はレイコ、レイちゃん。
2023年のソロデビュー前、レイちゃんが久保田利伸さんの「♪LA・LA・LA LOVESONG」をカバーしたことがあった。

配信映像コンテンツの中で、カラオケで歌っていたシーンも見た。

「♪LA・LA・LA LOVESONG」といえば、1996年にリリースされた、久保田利伸さんの大ヒット曲。名曲中の名曲で、これまで歌番組の企画でカバーしたアーティストは数知れず。
DA PUMPのISSAさんや三浦大知さん、クリスタル・ケイさんなどのカバーは、ああいいなぁと思ったりしたけれど、もうこの曲自体があまりにもメジャーだし、聴きすぎて、誰が歌ってもフンッみたいなところがあった時期もある。
でもレイちゃんのカバーを聴いた時は、上手い!そして歌心があるなぁーと嬉しくなったことを憶えている。
何目線? と思われることだろう、まあそれは長年のファンによくあるこじらせ系目線、とでも言おうか。
前置きがだいぶ長くなった。
REIKOのライブツアーがあると知り、行きたくなった。しかし、会場が横浜だという。
と、遠い……。仕事の日程的なこともあり断念していた。
でも今年4月から3か月連続でリリースしたR&B3部作のうち2作「♪Take It Back」と「♪君のせい」が、90年代のジャパニーズR&Bの匂いをプンプンさせていて、思いっきり好みだったので、品川で追加公演のライブがあると知りチケットをゲットした。
そこから約10日後、私的ミラクルが起きた。REIKOのR&B 3部作の最後の作品「♪LOVE DEEPER」がリリースされたのだ。それはなんと久保田利伸さんの『流星のサドル』をサンプリングした曲だった。
そ、そんなことが! しかもリリースにまつわる裏話を聞けば、曲を作るにあたりレイちゃんが久保田さん宛に、まるでサンタさんに宛てて書くように、サンプリング使用依頼のお手紙を書いたところ、快諾されたのだそうだ。
私の恐ろしいほどのガッツポーズや小躍りを想像いただきたい。
好きと好きが繋がった時の全能感!
そのただのファンによる「やったった感」を両腕で抱えながら、7月3日、品川ステラボールで開催された『REIKO 1st One-man Tour "Love you deeper"』最終公演 に一人で訪れた。
誰かのライブに行く時は、仲間と待ち合わせてツアーTシャツを現地購入して着替えてみたり、お気に入りのスニーカーを履いて出かけたり、それなりに気分をアゲていざ会場へ!みたいなことが多い。
しかし、この日の私はとにかくラフだった。昼間のうちに締切のある仕事をクリアし、武装する感じはなく電車に乗った。乗り換えなしの一本で行ける気楽さもあった。行きの電車では、久保田さんのファンクラブの会報を読んだりしちゃっていた。(小さいバッグに入る薄い冊子なので、たまたまです)

さて、会場の品川ステラボールに到着し、開場を待つ列に並んだ。
一人ってちょっと寂しいけれど、この日の私は格好も気持ちも不思議なほどにラフだった。
ステラボールの客席は横に長い。1階席は750席程度らしい。
私はM列。最後列だった。これでまたラフな気持ちが継続した。
開演時間まで、会場には音楽が流れている。選曲はブルーノ・マーズやNe-Yoだ。
好きな音楽のジャンルに共通点がある。そう思ったあの時の感覚のままで嬉しくなる。
そういえば客席全体も、ラフな気がする。我が我が感はないし、程よく年齢層も幅広い。
アーティストREIKOがそうさせるのだろう。
これもまた、久保田さんと共通している気がするのは、ただのファン目線だな、きっと。
ちなみに、久保田さんのLIVEには、昔、それはそれはイケイケでした(死語)の、お姉さま方、お兄様方も多い。
でも自分も含め、そういう人たちの子や、なんなら孫世代のアーティストが、こうして活躍する時代なのだ。
そんな風に思うと、飲んでもないのにいい気分。

そして、ライブがスタートした。
REIKOとしてリリースしてきたすべての曲と、たくさんのカバー曲を歌った。
ドリカムの「♪決戦は金曜日」や清水翔太さんの「♪花束のかわりにメロディーを」、
オーディションの最終審査曲だった「♪Shining One」(BE:FIRSTのカバー)もあり、
デビュー前から彼を応援してきた方たちには嬉しいセットリストだ。

そして、「僕のルーツと言ったら……この曲も歌わせてください」みたいなコメントの後、「♪LA・LA・LA LOVESONG」を披露。
イントロが流れるとバーッと沸く会場。その沸き方は、久保田さんのLIVEの時とも似ている。たくさんの人が、あの曲歌ってくれるんだ!! とワクワクさせる音楽の力って本当にすごい。
もうこの曲の頃になると、全身いい汗かいて気持ちよくなっていたし、サビで手を左右に振るのだって最後列だから存分に大きく振っちゃった。

私の小躍りタイムはつづく。なんと、例の新曲のサンプリング元である「♪流星のサドル」も歌ってくれるという。何万回聴いてきたかわからない曲だ。
久保田利伸1st Album『♪SHAKE IT PARADICE』に収められているデビュー当時の曲で、ダンサブルでキーも高い。
そこまでですでに13曲披露してきたレイちゃん、声が出づらい箇所があって、思わず「ガンバレ!」と声が出てしまった。
そんなラフな態度になれてしまうのも、私が好きな久保田さんのLIVEと似ているなぁと、ノリノリなのにしみじみ。

アンコールも含め全18曲(実は19曲!?)を歌ったアーティストREIKO。
ラテン調の「♪Neverland」はセクシーな歌声だけど爽快、
「♪First Christmas」は、文字通り季節が全く異なる曲なのに、ほんわか聞けちゃってなんなら南半球ならぴったりだわ、なんてやけにピースフルな考えになっちゃう。

「♪LOVE DEEPER」は、「♪流星のサドル」のサンプリングが心地良すぎて、原曲よりテンポが遅いことでエモさが増していて、ありがとうの気持ち。
ちなみにこの曲のプロデュースはmc.A.T.さん。いろいろありがとう。

「♪So Good」は、REIKOそのものと言いたくなるハッピーをくれる曲。
この曲を初めて聴いた時から、実は私は久保田さんがライブでよくダンサーさんや客席と一緒にノる、バレーボールのトス的裏どり手振りをしてしまう。
Goodを歌う時にGoodポーズをするのも楽しいし、とにもかくにも多幸感に満ちるのだ。
横長の客席を、大きく手を広げて包み込む、そんな歌声、そんなパフォーマンスだった。

会場で購入したツアータオルが、気持ちよくかいた汗をにありがたい。
会場を後にして駅の改札をくぐった後、電車に乗る前にどうしても一杯飲みたくて、立ち飲み屋に入った。
こんな時、もし一人だったらすぐに電車に乗るのが普通だったろう。
でも、初めから終わりまでラフに楽しめた私には、この一人ふらっと立ち飲み屋でビールを一杯だけ飲んで帰る感じも最高にピッタリとハマったのだ。

レイちゃん、きっと9月からスタートする久保田さんのLIVE、どこかの会場に足を運ぶだろう。
見たらバンドだけじゃなく、コーラスも付けたいと思うようになるかもしれない。
ダンサーさんと踊る曲も何曲かしたくなるだろうし、スローナンバーで座って歌う時には、客席も座るよう促しちゃったりしたくなるんじゃないかな。
などと、長年のファンによくあるこじらせ系謎に上から目線、ふたたびでごめんなさい。

好きと好きが繋がった時の全能感をたっぷり纏いながら思った。
次の久保田さんのLIVEで「♪流星のサドル」のイントロが流れたら、その時は小躍りどころじゃ済みそうにないなって。

2025.6.23リリース 「LOVE DEEPER」 REIKO


1986.9.10リリース Albur「SHAKE IT PARADICE」より
流星のサドル 久保田利伸

 
ボサノヴァに身を預け、レゲエのリズムに心委ねる夜日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。大好きなアーティストのBOOSA&LOVERSROCKに酔いしれる夜in羽田の記録。...