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バカ、ホンモノの春だよ。

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

義母宅近くのスーパーで買い物をした帰り道。
いつもよりちょっと張り切って、少し多めに食材を買って、重くなったエコバッグを抱えて歩き出した。大きな駐車場の脇は芝生が植えられていて、よく手入れされている。
するとその芝生の上に黄色い3つの点があるのが目に入った。写真のソレだ。次の瞬間、私は心の中で悪態をついた。
「なんてひどいのかしら、こんなところにこんな風に無造作に捨てるなんて! だから田舎は嫌なのよ!」
最後の一言なんて、自分もそれなりの田舎に暮らしていながら、とてもよくない発言。
あ、でもあくまでもこれ、心の中ね。

そして、その次の次の瞬間、私は気づく。
「バカ、ホンモノの春だっつーの!」
ここは出来ればイケボで読んでいただきたい。

なにが起きたかを説明しよう。
私は、最初に黄色い3点を目にした時、よくそれが刺身の盛り合わせに付いている菊、
しかもプラスチックの偽物の菊、だと思ったのだ。
こんなところにゴミのように捨ててある。いくら食べられないからって、飾りだからって、
こんな植え込みのところに捨てるなんて……。
そう思ったのだ。

しかし、すぐに気づくわけだ。それがそもそもプラスチックではなく、菊ではなく、
タンポポであることを。
たまたま地中から花の部分だけニョキッと顔を出していたものだから完全に誤解してしまった。
よく考えればわかるし、よく見ればわかるのにね。

周りに人もいなかったし、そもそも心の声だったけれど、
なんだか一人恥ずかしくなりつつ、写真を撮った。
頭の中では、
「バーカ、春が来てんだよ!」みたいな感じで、突っ込まれていた。
ツンデレ的なこういうキャラクターにキュンとくるタイプでも年齢でもないのだけれど、
なんとなく脳内再生はそんな感じだった。

ちなみに、その日、私が購入したものの中に刺身の盛り合わせはない。
春がやってきたね。
スキップはしないまでも、重かった荷物が少し軽く感じながら帰り道を歩いた。