自分らしさ、暮らしやすさを提案するらしく・おうちと整理研究所 主宰の柳澤とも子が、夫婦で手塩にかけて作る庭と植物についてつづるガーデンフォトエッセイ。
庭の北側、もみの木の足元に小さな畑スペースを作っています。
初夏の光に畑の植物がきらきらと輝いています。今年は3年ぐらい前に植えたイチゴが豊作です。朝の水やりに出るたびに、赤く色づいた実が顔をのぞかせていて、『なんて可愛いんだろー!!』うれしい悲鳴です。
最初のうちは、そのまま娘たちと「味見」と称してつまんでいたのですが、どんどん出来てくるので食べきれず、ジャムにすることにしました。
キッチンに立つと、洗ったイチゴの香りがふんわりと立ちのぼり、砂糖とレモン汁を加えて煮詰めていくと、部屋中がやさしい甘さに包まれます。お気に入りのルクルーゼの鍋でイチゴを煮詰めている時間は、本当に癒しの時間です。
煮詰まってとろみが出てきたら完成です。冷やしてから、こんがり焼いたパンに塗って食べると格別です。市販のモノよりも甘さ控えめですが、イチゴの果実感が強く出せるので、リッチな気分です。
一方で、畑の隅からは思いがけないお客さんが。去年育てていたパクチーが、こぼれ種であちらこちらから芽を出し、気がつけば、まるで雑草のように茂っています。あの独特の香りが大好きな夫は大喜びです。色々な料理に付け合わせています。
パクチーは実は冬も芽を出していたのですが、冬のパクチーは全く香りがありません。こぼれ種のせいかも、とも思いましたが、春先のパクチーはきちんと香っているので、暖かさのせいだということを実感しました。

このイチゴとパクチーのコントラストに、ふと整理収納のことを思いました。手をかけて育てたもの(イチゴ)もあれば、意図せず広がっていくもの(パクチー)もある。でもどちらも、今の暮らしに小さな豊かさをくれているのです。
家の中のモノも同じかもしれません。きちんと管理しているつもりでも、気がつけば思いがけないところに増えているものがある。けれど、それが「自分にとって必要か」「いま役立っているか」を見つめ直せば、ただの散らかりではなく、暮らしのヒントになることもあるのだと気づきました。
小さな畑を見ながら、今日もそんな発見を楽しんでいます。

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