自分らしさ、暮らしやすさを提案するらしく・おうちと整理研究所 主宰の柳澤とも子が、夫婦で手塩にかけて作る庭と植物についてつづるガーデンフォトエッセイ。
6月から丸々4ヶ月続いた長い長い夏が、ようやく終わりを迎えました。朝晩の空気がひんやりしてきて、庭の木々にも落葉が見えはじめます。植物の成長も少しずつ緩やかになり、冬支度の気配が漂いはじめるこの季節。秋の花たちは負けじと咲き誇り、庭はまだしばらくのあいだ賑やかです。
そんな穏やかな秋の景色の裏で、今年は9月の後半に“戦いの季節”がありました。久しぶりに毛虫が大量発生したのです。最初は見つけては割り箸などでつまみ取っていたものの、あまりの多さに根負けして、ついに専用の殺虫剤を投入。すると驚くほどの効き目で、まさに“劇的”という言葉がぴったりでした。
パーゴラの薔薇に毛虫の姿は見えなかったのですが、ウッドデッキの上に小さな糞が落ちているのを見つけ、念のためスプレーをしてみると……、緑色で葉にすっかり同化した毛虫たちを発見。ここまで葉と見分けがつかない姿に「これはこれで進化だな」と妙な感心をしてしまいました。
10月に入ると、庭はいよいよ“再始動”の季節。宿根草や春用の球根を植えはじめ、夏のあいだに伸び放題になっていたシルバープリペットの枝も剪定。今年は暑さで手を出せなかった分、ここから秋に追いつきます。涼しくなった風の中で土を掘るのは、まるで庭と呼吸を合わせ直すような時間です。
この「追いつく」という感覚は、整理収納にも通じるものがあると思います。忙しい時期は手が回らず、モノが増えていくのをただ見ているしかないこともあります。
でも、涼しくなった秋の日のように、少し気持ちの余裕が戻ってくると、自然と片づける力も湧いてくる。気づけば、ため込んだものを見直し、整えるチャンスがやってくるのです。
季節が巡るように、暮らしもまた整いと緩みを繰り返すもの。夏にできなかったことを秋に取り戻すように、少し立ち止まっても、また動き出せばいい。
庭がそんなことを教えてくれているように思います。

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。