酒場と人間をこよなく愛するホッピー★うめが、膨大なヒューマン酒場日記の中から厳選した1ページを毎月お届け。
こんにちは!
酒場と人間をこよなく愛するホッピー★うめです。
長野県の松本で、素敵なご夫婦が営むアットホームで元気が出るお店に出逢いました。お店の名前は「居酒屋 庄助」さん。
ずっと行きたかったお店で、訪問は今回が初めて。
なぜか、暖簾をくぐることができただけで幸せな気持ちになりました。
オープンと同時刻、案内されたのはカウンター席。厨房が見渡せる特等席で、優しい雰囲気のマスターたくちゃんの包丁さばきが楽しめます。接客は、笑顔が素敵なマキさん、たくちゃんの奥さま。このお二人とのご縁が、なんとも不思議なタイミングで感動的でした。
まずは、私のお目当てだった「本日の刺身盛りとジョージのハイボール」を注文。ジョージというのは元店主のお名前で、お客さんや家族からも親しみを込めて「ジョージ」と呼ばれていたそう。
私がこちらのお店を選んだきっかけも「ジョージ」。事前情報で見ていたジョージの満面の笑みがこぼれるハイボールポスターが目に留まり、この人に会いたい! このお店に行けば楽しくお酒が飲めそう! 元気になれそう! という気持ちになりました。
でも残念ながら、ジョージは2023年8月に他界してしまっていました。
その後お店はお休みをし、ジョージの愛が詰まったお店を続けたいという思いで、息子たくちゃんが脱サラして、10月に再開。ちょうど私が店休日に訪問したのが8月、再開した10月にまた訪問してご縁がつながったお店。なんだか、ジョージが引き合わせたような感覚を覚えました。
ジョージは亡くなる前日まで、いつもと変わらず元気に厨房に立っていたそうで、その日一緒に働いていたマキさんは、突然の出来事に驚きを隠せなかったご様子。思い返せば、その日に限って何かと厳しく叱られたというマキさん、最後にいろいろ教えておかなきゃいけないという、ジョージの優しさだったのかもしれないとの言葉に涙がこぼれます。たくちゃんもまた、いつまでもパワフルに長生きすることが当たり前だと思っていたお父さんが、いなくなってしまったことが信じられないという感じ。ジョージに会ってみたかったと言う私に、たくちゃんの同級生とカラオケに行った日のロックンローラー風のジョージの動画を観せてくれ、ジョージの元気な姿に私たち三人は笑顔になっていました。
ジョージ話でいつの間にか一体感が生まれ、初めてとは思えないほどに話し、温かく親近感が湧いて、お二人のお店への思いを聴き入っちゃいました。「これから私たちがお店をやっていくにあたって、珍しいお酒を仕入れたり、新しい取り組みを考えたりもしていきたい」と話すマキさんからは、ジョージのお店を継ぐことへのプレッシャーを感じつつも、今までの良さを残し、たくちゃんと気持ち新たにお店を盛り上げていこうという力強さを感じました。
そして流れは、ジョージお手製の特製酒へ。スズメバチを漬けた貴重なお酒と、何が入っているのか誰もわからない超スタミナ酒、気合いを入れたい男性客のファンは多いらしい。好奇心の塊な私はもちろん両方ともオーダー。
スズメバチ酒は、遠い昔に祖父のお家で舐めた手作り梅酒に似た感じ。素直に美味しい!
超スタミナ酒は……、そっと舐めただけで火を噴いてしまいそうな強烈なお味。体中が熱くなって一旦思考停止状態。アルコール度数が高いのか?いや、アルコールとは違う何かが体に行き渡った感じ。特製酒のおかげか、お店を出た後も翌日も、ものすごく元気だったことは確かです。
ジョージ、たくちゃん、マキさんとお店のエピソードが濃すぎて、少し箸が止まってしまったけど、どのお料理もすごく美味しくてお酒との相性は抜群でした!
最初に出てきたお通しは、鹿肉にセロリ漬け、タコの吸盤と三種の豪華なラインナップ。海山畑の幸が堪能できるなんて、最高です! そして、お店のおすすめメニュー本日の刺身盛りは、一切れがしっかり食べ応えのある切り身で、4種も入ってなんとも嬉しい一品!
松本ではお刺身のイメージがなかったけど、たくちゃんが卸売市場で働いていたと聞いて納得。お魚さばきも市場仕込みとのこと、お手の物ですね。
新たにスタートした居酒屋庄助、第二の人生を歩む覚悟を決めたたくちゃんとマキさんをこれからも応援したい! これからも多くのお客さまと素敵なご縁でつながって欲しい! と心から思いました。お二人のジョージ愛と、お店、お客さまへの感謝があふれた、とても幸せな空間でした。
温かく迎えていただき、お腹も心も満たされた至福の時間をありがとうございました!
次回は青森県の酒場から、美味しい話をお届けします。
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