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入ってみたら何が見えるのか?_くろださくらこ個展「その場所にわたしが。」レポート

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2月26日から3月3日まで、恵比寿のアメリカ橋ギャラリーで開催中のくろださくらこ個展「その場所にわたしが。」“I have to be there”をレポート。

さくらこさんの写真や作品は、SNSでもよく拝見してきた。さくらこさんのお人柄が大好きで、お仕事をご一緒したこともあるし、ただただおしゃべりした日も、一緒にお酒を飲んだこともあるし、取材させていただいたことも!

カリブの島の彼とつながるダブルス誰にでも忘れられない味がある。ふとした瞬間に思い出したり、その味と共に記憶がするするとよみがえったり。unforgettableな味から記憶を整理する私のアンフォゲ飯。 今回はフォトグラファーのくろださくらこさんの彼の故郷の味。まだ日本では知る人があまりいないアンフォゲ飯です。...

地下鉄の駅を降りて、坂をふうふう言いながら歩いて、アメリカ橋ギャラリーにたどりついた。JRの動く歩道を使えば、すいすいすーいと行けたはずだけど、行きはこのたどり着く感がわくわくともつながっている感じがしていい。
(帰りはすいすーいコースにしたけどね 笑)


ギャラリー右前の黒いものがある場所、さくらこさんが「考える人」になってここにいるらしい。前日SNSで見て、なるほどーとなった。運が良ければ? その作品にも出くわせるかもしれない。週末は来客多そうだから難しいかもね。

さて、ギャラリーを入るとたくさんの作品の中にさくらこさんがいる。
誰もが良く知る絵画作品を、さくらこさんが自ら模写し、その中にさくらこさんが入っているのだ。顔をさくらこさんの自画像に置き換えているのではない。さくらこさん自身が絵の中に入るのだ。
たとえばこういうこと。


岸田劉生の「麗子像」の中にさくらこさんがいるし、
レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」の中にさくらこさんがいるし、
アンリ・ルソーの「人形と少女」の中にさくらこさんがいる。

これらの作品がどのように生み出されているのかは、会場内のモニターに制作過程の動画が見られるので、そちらも要チェック。

ギャラリーは入口を入って右には作品がこうして並んでいる。
1点ずつ、じっくりしっかり目で追う感じに楽しめる。
額も同じ大きさだし、ラインが揃っていて整然としていて、こうした展示が好きな人も多いだろう。


対して左の壁には、大きさも展示方法も異なる作品が、ランダムにある。
俄然こちらが気になった。


この展示方法は海外の美術館などではよく見られるらしい。
壁から少し距離をとって、壁面を眺めながらどの作品が気になるかをしばし見た。
絵画にはまったく明るくない私でも知っている有名な作品ばかりだ。
でも、もともとこの作品が好きだから、これ……という見つけ方にはならなかった。
今日の私は、今の私はどの作品が気になるだろう、そんな風にいつも見ることが多いから、
ここでもそうしてみたのだ。

すると気づいた。今日の、今の私は、いろいろな絵の中にいるさくらこさんの足が気になった。額縁から出ている割合が多い、足。
なぜそれが気になったのかは、さくらこさんとお話して、なるほどなと思った。
「足は一番、素に近いからかもしれないね」と。
手はポーズしているものが多いけれど、足は無防備だったりするという。
こんな風に、何が気になって、それは何故なんだろうとアーティストご本人と話せるなんて贅沢だなぁ。

そして、ギャラリーの正面、半地下にはあの有名なエドヴァルド・ムンクの「叫び」がある。顔ハメできる状態のそれがあって、
「その場所にあなたが。」と誘われている。
当然私もさせてもらった。
さくらこさんが私のスマートフォンで撮ってくれた。手はこうして、腰を落として高さを合わせて、いざ叫べ!
カメラロールには10枚記録があるが、これは最後の1枚。


言葉ではうまく言い表せないのだが、その場所にわたしが入ってみることに何かがあった。
解放? 油断? 信頼? 挑戦? 交流? 孤独? どれも合っているようでどれもぴったりではない感じ。
ただ、やってみなければわからなかったことが、何やら少しざわっと動いた感じがする。
これは絶対に遠慮せずに皆、試すべし。
二人組で行ったりすると、「私はいいよ、大丈夫」とか言ってしまう人もいると思うけど、そういう人こそ、ぜひ! (別にSNSにあげなきゃいけないわけではないんだから 笑)

で、「ああ、やって良かった!」と思ってたら、もう一種薦めてもらって、こちらはなんだか勢いづいて「はいはい、やっておきましょか……」みたいなことになるから、つくづく自分が単純な性格だっていうことに気づかされる。


そうです、かの有名なヨハネス・フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」。
少し不敵な笑みを! と言われたけれど、楽しさが勝っているおちゃらけ感満載。
撮ってもらった写真を見て、唯一いいなと思えたのは、リップも落ちていて素の唇の色が
作品の色味となんとなく合ったな……ということだろうか。
ちなみに、こちらもカメラロールには9枚が記録されていた。
なんか、それもプロだなぁと思うのは、私が編集&ライターだからだろうか。

ギャラリーには展示された作品についての解説一覧パネルもあるので、あの絵、なんだっけ? は後でゆっくり確認できる。
作品は、2018年から生み出し続けてきたそうだ。その間にはコロナ禍もあった。
仕事が順調な人も、人間関係に悩む人も、自分が今、どこにいて何を求めているのかわからなくなることがある。
自分なんてどこにもいないとちっぽけに思ったり、もっと理解されたいとウジウジしたり。
枠の中に入ってみた自分がどう感じるのか、さくらこさんの作品を見て、どれに目がいくのか、何が気になるのかを体感してみてはいかがだろうか。

くろださくらこ 個展
「その場所にわたしが。」
"I have to be there."

会期/2025年2月26日(水)~3月3日(月)
会場/アメリカ橋ギャラリー
時間/11:00~19:00(最終日は17:00まで)※会期中無休

 

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