ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
そんな私が毎回一つのドラマと整理収納をリンクして語ります。
明けましておめでとうございます。
年末年始、ドラマ観ましたか?
私は年末特番が多かった事もあり、ドキュメンタリーや映画ばかり観てしまいました。
「ドキュメント 72 時間 ベスト 10」や「映像の世紀」「ひまわり」「マイ・インターン」など。
久しぶりに家族も一緒に観て楽しめました。
ドラマについては、1 月のスタート前の期間ですので、しっかりと新ドラマのチェックをし
ましたよ!
2023 年も超個人的な整理収納視点でドラマを語りますので、どうぞよろしくお願い致しま
す。
新ドラマは次回のお楽しみということで、2023 年 1 回目の「ひつじのまなざし」は長年愛され続けているシリーズドラマであり、お正月スペシャルも放映された「相棒」に注目してみました。
「相棒」は 2000 年から続くシリーズ化された国民的刑事ドラマです。
主人公、杉下右京(水谷豊さん)は東大卒のキャリアで警察庁に入庁するも、キレものすぎ
るゆえ上層部に睨まれ、ある事件を機に警視庁「特命係」に出向になります。
「特命係」は名前は格好良いですが、配属された部下が次々に辞めていくため、“人材の
墓場”と呼ばれています。
今シリーズの「相棒」は亀山薫(寺脇康文さん)で、初代相棒でもあります。
熱血漢でお人好しの薫。常に冷静で理論派の右京とは見た目も性格も正反対だからこそ
いい「相棒」になれているのかもしれません。
事件は大抵 1 話完結で解決するのですが、それ以外にも警察内部の人間模様や社会風刺を
含む内容も多く、見応えがあります。
さて、整理収納アドバイザー的に気になるのはやはり右京さんと薫のいる「特命係」の部屋です。
この部屋は二人で使用しているので丁度真ん中で仕切られていて、入り口から入って手前
が右京ゾーンになっています。
そしてここがとても右京さんらしさが出ていて楽しい空間です。
これまで何度も訪れるほどイギリス好きな杉下右京のこだわりが色濃く出ています。
常に綺麗に整えられているデスクの左にはチェス板が置かれ、右前にはビッグベンのミニ
チュア模型が置かれています。
デスクの右にはレコードプレーヤーとミニコンポと本が少し。
ヘッドホンで時々音楽も楽しみます。
壁にはモノクロの写真が飾られていますが、イギリスの市街なのか、これは残念ながら確認
できませんでした。
背後にはイギリス紳士の被りそうなハットのかかったコートハンガーがあり、ロッカー、本
棚は木製の落ち着いた色味の物が置かれています。
とても署内とは思えない雰囲気です。
極め付けはやはり「ティーセット」ではないでしょうか。
入り口入ってすぐ右のドリンクコーナーにはコーヒーセットの他に右京さん専用のティーセットが 1 セット置かれています。カップ&ソーサー1 脚とティーポットのセットは、特別感があります。
例の高―くティーポットを持ち上げて紅茶を淹れるパフォーマンスは味にも影響するのか
どうかも気になります。
ここは是非エンタラクティブライフで「Tea and…」という紅茶のコラムを書かれているイ
ノチカさんに確認してみたいところです。
ここまで見てきてわかるのは、全てのものがあるべきところに美しく収まっているという
事です。
積み重なったり、曲がって置かれたりしているものも見当たりません。
持ち込んだものはすぐに分類され、処分され、収められているようです。
思考がクリアな右京さんらしいですね。
ティーセットも恐らく自分で管理して、茶葉もお気に入りのものをお気に入りのお店で買
っているのでは?と妄想は膨らみます。
銘柄やフレーバーも拘りがありそうですね。
紅茶を片手に奥まった自席に座れば、お気に入りの景色やお気に入りの音楽を手に入れら
れます。動線的にもかなり効率的です。
ただ 1 つ気になるのはレコードの収納です。
レコードプレーヤーの乗っている台には引き出し収納が付いているようですが、引き出す
方にコートハンガーがあって、引き出すスペースがないように見えます。
ここにレコードを収納しているとすれば、
杉下右京ともあろう人がわざわざコートハンガーをどけてレコードを取り出すでしょう
か? いや、もしかしたら背面のロッカーの中にお気に入りの厳選したレコードが収納され
ているのかもしれません。そうなるとあのロッカーの中身が気になります。
次に薫ゾーンを見てみましょう。
こちらは右京さんとは正反対な感じが出ています。
収納家具は全てスチール製。恐らく最初からの備え付けでしょう。
(私は右京さんは家具を持ち込んだのではと思っています)
こちらは片付いているというか非常に殺風景です。仕事場ですからこちらの方がむしろ普
通と言えます。
そして2つのゾーンの印象を大きく違えているのが「照明の色」ではないでしょうか。
右京ゾーンは温かみのある「電球色」,薫ゾーンは青みがかった「昼光色」です。
職場は大抵「昼光色」ではないかと思いますが、
これも右京はこだわって「電球色」にしていると思います。
照明も家具も紅茶もイギリスの雰囲気も、
リラックスした状態をわざわざ作り出しているのではないかと思います。
殺伐とした事件に挑んでゆく為に自らバランスを取って、緊張状態を緩めているのではな
いでしょうか。
整理収納はただ見た目に片付いていればいいというわけではありません。
片付けた先に「どんなふうにそこで過ごしたいのか?」を考えて片付けると
自分にとってとても居心地の良い空間を手に入れることができます。
その為にも自分がどんな空間が好きで、気持ちよく居られるのかを知っておく事が大切に
なります。
その点右京さんは見事に「自分のための空間」を作り出しています。
さすがです。
右京さんの家は見たことがありませんが、
「特命係」は杉下右京の家のようなもの。
整えてリラックスできる空間がある事で、
今日も右京さんは薫と難事件に立ち向かいます。
season21 も冴え渡る推理と薫とのコンビネーションを楽しみたいと思います。