ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回私が取り上げるドラマは、小池栄子さん主演の「コタツがない家」です。
深堀万里江(小池栄子)は「彼女が担当したカップルは離婚をしない」と言われる人気ウェディングプランナーであり社長。
昔は売れっ子漫画家、今は家で一日中だらだら過ごしている夫 悠作(吉岡秀隆)とアイドルになり損ね自暴自棄になり大学の推薦も蹴ってしまった一人息子 順基(作間龍斗)の3人家族で暮らしていました。
仕事以外は悩みの尽きない日々だった万里江の家に、さらに離婚して転がり込んできた父 達男(小林薫)も加わってますます万里江を困らせます。
そんな毎日の精神面・金銭面の波乱万丈を決してスマートじゃないけれど、かじ取りをして乗り切ってゆく万里江の姿がおかしくもりりしく描かれています。
万里江の家は一軒家ですが、よく映し出されるのは1F のリビングです。
一角が和室になっていて、そこは来客と話したり、足を延ばして寛いだり、時々万里江がアイロンをかけたりしています。
和室を含めてリビングダイニングキッチンは全て一目で見渡せるような作りになっているのですが、いつでも片付いていて、ちょっと乱れるのは悠作がソファでゴロゴロしながらビールを飲んでいる時くらいでしょうか。
だいたい悠作はほぼ一日中猫と戯れたりゲームをしたり隣の少年とリモコンカーで遊んだりしているだけで食事も作らなければ、掃除もしていません。
なんとこの美しい状態をキープしているのは社長業もこなしながら仕事もフルで働き家族を
養っている万里江という設定なのです。(父が来てからはだいぶ手伝っていますが)
万里江はもともと面倒見の良い性格ですが、それにしても「出来すぎ奥さん」過ぎる! と思ってずっと観てきました。
なぜこれほどまでに夫に甘いのか? それもこれも一番最近の第7話でわかった気がしました。
7 話ではずっと新作漫画が描けなかった悠作がとうとう引退宣言をします。
引退して家事を頑張るという悠作に万里江は自分でも思っていた以上にショックを受けてしまいます。
11年間家事と仕事で家族を支え続けたのは自分のキャリア形成のためということもありましたが、次回作に苦労していた夫を支えたいという気持ちも大きかったようです。
何度も編集者に見放されそうになっても万里江が頭を下げてとりなしていたり、描かない夫のお尻を叩いたりと陰になり日向になり応援し続けてきたのです。
「惚れた弱み」と言えばその通りかもしれませんね。他人があーだこーだ言える事ではないのです。
万里江の様子を見てある日父親の達男は悠作に「娘の幸せのために別れてくれ」と言います。
この場面で「ああ、整理収納の現場でもよくみる光景だな~」とふと思いました。
この場合お片付けの現場では対象が人ではなくてモノですが、持ち主の意向はさておいて、
「これは古いから要らないと思います。取っておいてもしょうがないモノです」と家族のモノを手放そうとする方が結構いらっしゃいます。
勿論良かれと思って。
でも、それ(手放すのか持ち続けるのか)を決められるのは持ち主だけ、つまり万里江の場合は悠作と別れるか別れないかを決められるのは万里江だけなのです。
決める時に意見を言うのはもちろん良いと思いますが、はたから見て「不幸せ」と思うような暮らしでも「幸せ」なのかもしれない。それは本人にしかわからないものです。
モノを選ぶ事も生き方を選ぶ事と似ている。だから整理収納を学ぶと人生が変わるのです。
関係性が近いほど別れがたく「惚れた弱み」も加わり、ああ人間は厄介だなあと思いながらも愛おしいと思ってしまうのです。
言いたいことを「え?! そんなことまで義父に言う?」「実の親子でもそこまでは……」と思うほど心の中を包み隠さない深堀家。バトルの前の「カーン」となるゴングが毎回楽しみですが、毎回バトルの後はなんとなくスッキリして収まってゆくのは良好な人間関係の縮図のようです。
だから今回の危機を万里江がどんなふうに乗り越えてゆくのか、楽しみな第 8 話! 皆さんもご覧ください。(美しい LDK も見てね)。