ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回取り上げたドラマはNHK土曜ドラマ「ひとりでしにたい」です。
ドラマタイトル「ひとりでしにたい」をパソコンで調べると最初に「東京自殺防止センター」がヒットします。 なんだかヒリっとくるタイトルだな と思いましたが、実はチョー楽しい、でもためになる終活コメディーでした。
主演の綾瀬はるかさんは調べてみたらなんと40歳!お肌も髪もつやつやで奇跡だなあ!と
毎回思います。
主人公の山口鳴海(綾瀬はるか)は、子なし独身。美術館の学芸員として働いている。買ったマンションに猫と一緒に暮らし、推し活を楽しむ日々だ。
そんなある日、小さいころ憧れていたキャリアウーマンの叔母が孤独死したことがきっかけで「一人で死にたくない」と思うようになる。とりあえず婚活を始めた鳴海だったが、同僚の那須田優弥(佐野勇斗)から「結婚すれば安心って昭和の発想ですよね」とばっさりと否定される。
孤独死に関する那須田のレクチャーに興味を持った鳴海は、実は自分の終活より先に両親の
老後がわが身に降りかかってくるということに気づき、両親に老後について考えてもらおうと画策するが……。
鳴海の実家はあなたの実家?!応接間の危険
鳴海の両親が住む実家は典型的な昭和を生き抜いてきた家です。
ああ、この感じ。私も実家の応接間を思い出します。
「応接間」とは来客を迎えるための部屋で、そこは大切なお客様をお迎えするためだけにあるような部屋でした。 昔はよく見かけたけれど、現代でも存在するのかしら? 私がお片付けに伺う東京のマンションでは1度も出会っていない気がします。
鳴海の家でもかつて応接間として立派なソファが置かれ、絵画が飾られ、庭を望む一等地を与えられていたその部屋は役目を終えた今、その威厳はどこかへ消え去り、様々な雑多なものに溢れています。 ゴルフでもらったトロフィー、招き猫、こけし、大きな温度計、賞状、古い地球儀、それに高齢者あるあるの血圧計、将棋盤、孫の写真や絵。
お片づけを依頼されるお宅では居住年数が長ければ長いほどこのような感じのお宅は多くあ
ります。つまり、「思い出がいっぱい」なのです。(H₂Oがわかる方いる?)
それらのモノたちは愛でるというよりはでただただ置かれているといった様子です。もはや景色になっているような。
いかがでしょうか?この景色はあなたの実家ではありませんか?
居住年数が長いほどモノの量が多いというのが私の現場経験からのセオリーなのですが、
応接間の特徴としては、飾る、という発想はあるのですが、見直して手放すという習慣はないようです。
それにしても、妹の家の片づけをした時にかなり大変だったでしょうに、自分の家もモノの見直しをしなければ、こんな思いを子供たちにさせることになるという発想にはならないところが人間っておもしろいなあ。
取り掛かるのは今でしょ!
鳴海は那須田の進言からまずは両親の介護や死に向き合うことが先だと気づきます。
親の終活。それこそ今やらなければ!自分の将来にも大いに関係してくることなのだ。気の進
まないことを後回しにしてきたけれど、このままではまずいと腹を括ります。
そう、気の進まないこと、でも向き合わないと必ずリスクが高くなること、終活って整理だなあって改めて感じました。
だって人は老い、いつか死ぬ。結婚や子供の有無はもはや関係ないのです。自分がどう生きたいかはどう死にたいかに直結しているのですから。だからやるなら1日でも若い今でしょ? ってことなんです。
鳴海は終活なんて全く興味がなかった自分が那須田によって一人で死ぬ恐怖から一人で楽し
く生きて、人に迷惑をかけず一人で死にたいと思えるようになりました。
そこで、両親にも彼の話が効くのではと考え一緒に実家へ行きます。
すると、父親は自分が倒れた時は所帯を持っている弟ではなく、独身の娘を完全にあてにしていることが判明し、唖然とするのでした。
父親も自分の事は人任せだったのです。妹の事を悪くは言えません。
那須田から鳴海を頼ると死にますよ、と言われその理由に合点がいった父はショックを受けています。今後は今を謳歌している母の終活へとお話は展開していきそうです。
因みに私は義母と一緒に儀叔母を病院で看取り、葬儀の手配をし、膨大なモノが積み重なった居室を片づけた経験があります。
ほぼ会話したこともなかったけれど、色々なことは予想を超えてくるものだなあと思ったものでした。
介護・終活・孤独死・女性が一人で生きてゆく事。羅列するとちょっと怖いワードが並びますがコメディタッチで描いているのと、推し活に夢中で踊り、歌う綾瀬はるかがとにかくかわいくて次週がとっても楽しみな一押しドラマです。
そうそう、劇中音楽はパスカルズ。ドラマ「凪のお暇」や映画「川っぺりムコリッタ」でもおなじみで、その軽やかでおかしみのあるメロディーも耳を楽しませてくれますよ。