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「ばけばけ」に観る整理収納

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ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。

小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからはそのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。

今回取り上げたドラマは髙石あかりさん主演の連続テレビ小説「ばけばけ」 です。
松野トキ(髙石あかり)は旧士族の一人娘。明治の世になっても、武士の暮らしを捨てられずにいる祖父、父と怪談好きな優しい母のもとで成長する。その後父の事業の失敗から松野家は莫大な借金を背負い、トキが働くことで何とか暮らしていた。
やがてトキは英語教師として松江にやって来たヘブン先生(トミー・バストウ)の女中として働くことになり、だんだんとヘブン先生と心を通わせ、二人は結婚することになる。
まだ、外国人が珍しかった時代、「怪談」で有名なラフカディオ・ハーンの人生に寄り添い、影響を与えた妻トキを中心に描く物語。

日本の建具と家具は空間使いの味方

1月に入り2週目にかけて、大きな動きがあった。
トキとヘブン先生の結婚が決まり、顔合わせや引っ越しなど慌ただしい様子が見られる。
まずは顔合わせだが、私は最初、旅館の1室を借りて行われているのかと思った。が、よく見るとヘブン先生が執筆をしている部屋であった。 ヘブン先生の仕事周りのモノは端に寄せられてふすまや障子が取り払われ、とても大きな1部屋になっていたのだ。 庭との境の障子もなかったので解放感が凄い。戸袋に入れるのではなく、丸ごと外すことでかなり印象が変わる。
おまけに障子もふすまも軽いので女性でも容易に動かせる。こんな時、本当に日本の建具はフレキシブルで素晴らしいなと感じる。

いよいよ引っ越しの時、旧居からの親子3人の荷物はなんと大八車1つキリだった。
積まれていたのは衣装箱(木箱)、机、衝立、箒のようだ。(布団はおそらくない)
そして、驚くべきは祖父松野勘右衛門(小日向文世)の荷物だ。トキの結婚を機に勘右衛門はかねてよりお付き合いしていた上野タツ(朝加真由美)と暮らすことになったので、荷物が大八車とは別だったのだが、その量が風呂敷包み1つと笠のみ。なんと荷物の少ないことか。きっと中身は着物の着替えとふんどしと手ぬぐい1本?などと想像してしまう。昨今のミニマリストもびっくりだ。私なら何を持っていくだろう。いろいろ考えてもとても風呂敷1つとはいかない。

さて、引っ越しの大八車でも見かけた衝立について考えてみた。
衝立も障子やふすまと同様に空間を仕切るのに使うが、これは置くだけで好きな場所を仕切
れるので、もっと気軽に使える。これまで1部屋で暮らしてきた松野家には必需品であったのだろう。
在宅ワークが出だした頃、ワークスペース確保のためにお客様にご提案したことがあったが、今は和洋どちらも色々なものが出ていてよりお勧めだ。

衝立によく似た形状でもう一つ、衣桁(いこう)もなかなか良い。
ヘブン先生の部屋に置かれている。

着物などを広げてかけておくためのモノで、ヘブン先生の部屋の衣桁はフックのようなものがついていて、帽子や上着をかけて使っている。
衝立と違ってモノがかけられるという点では衣桁は立派な「収納」と言える。
これも常時使っても良いが、使う時だけ広げて好きなところに設置できる。これは現代ではあまり見かけなくなった。着物を着なくなったのと、多分ハンガーラックにとって代わられたのだろう。
見ての通り衣桁は沢山の衣類をかけておくモノではない。今日着たモノに風を通す役目もあり見た目も和風で装飾性もある。
沢山の衣類がかけられて、キャスター移動できるハンガーラックの方が現代の暮らしにはあっているのかもしれないけれど、改めて見ると衣桁も優美で捨てがたい。

新しい生活スタイル

旧居からは考えられないほどの大きな武家屋敷に引っ越した松野家。
今は走り回れるほど広々としているけれど、これからの暮らしぶり次第でどのようなモノが増えていくのか楽しみだ。
今までのように同じ着物をずっと着ているような暮らしからは変わってゆきそうだし、ヘブン先生も日本の文化に興味があるので、お茶やお花の器なども増えてくるかもしれない。着物を着るようになれば、それに関するものも増えるだろう。
モノが増えた時に、何を残して何を手放すのかにも注目だ。今までは選択するモノ自体がなかったのだから、それも楽しそうだ。

劇中に出てきた銘菓「若草」。物語中では「風雲堂」となっていたが実際は「彩雲堂」

ヘブン先生は「日本のやり方、松野家のやり方に合わせるのは楽しみ」と言ってはいたけれど、早くも正座に苦心していた。気持ちはわかるけれど無理は禁物。別々の人間が一緒に暮らすということはどちらかの生活スタイルに合わせる事ではなくて、新しい生活スタイルを作っていく事だと思うのだ。 相手を知っていくことは楽しいし、暮らしを作っていくことはもっと楽しい。 だからどうか楽しそうな二人の姿を見せてほしいと期待している。

包装紙が美しくて思わずパチリ。あとで調べたら棟方志功作。
小泉八雲邸
文・みのわ香波
ひつじPlanning主催 整理収納アドバイザー。
ドラマを観る時は「ながら観」はせず、できれば一人でじっくり派。
登場人物の観察からの妄想がルーティン。
ドラマは「暮らしを切り取ったもの」、整理収納は「暮らしそのもの」
「映画に観る整理収納」「ドラマに観る整理収納」(ブログ専用ver)はひつじPlanningのちょっとずつお片付けでゆるっと掲載中。
連続テレビ小説 ばけばけ

放送:NHK 月~金 あさ8:00〜8:15
脚本:ふじきみつ彦
音楽:
牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」 【キャスト】 ほか野木亜紀子
音楽:髙見優 信澤宣明
出演:髙石あかり、トミー・バストウ / 吉沢亮、池脇千鶴、岡部たかし、小日向文世、円井わん、柄本時生、北川景子ほか