暮らしに紅茶を取り入れて、日常にもっともっとしあわせな時間を増やしていくことができたなら……。イノチカが紅茶と共に過ごす時間をご提案するオリジナルエッセイ。
好きなのは紅茶を愉しむしあわせな時間と空間。
一人の時もあれば、大切な誰かと一緒の時も。自宅をはじめ居心地の良い場所でのTeatime。
私の人生の中で、紅茶と紐づく記憶は、いつもしあわせと結びついています。
暮らしに紅茶を取り入れて、日常にもっともっとしあわせな時間を増やしていくことができたなら……。
紅茶にまつわるあれこれを綴ります。
どうぞ紅茶を片手にお付き合いください。
《Tea and・・・女ごころとアフタヌーンティー》
最近、アフタヌーンティーがちょっとしたブームのように感じます。
ホテルのラウンジやティールームでのアフタヌーンティーは優雅な非日常を味わうゆとりの時間。
居心地の良い空間で、様々な紅茶と一緒にケーキやスコーンなどを心ゆくまで頂いて、大好きな人たちとおしゃべりに花を咲かせるのは、まさに至福で、人生のご褒美。
お店によっては、フルーツのアフタヌーンティーや、ほうじ茶アフタヌーンティーなど、様々なテーマで工夫を凝らしているところもあり、期間限定などと書いてあると、ついつい惹かれてしまいます。
基本は伝統的なサンドウィッチなどの塩味のモノ、スコーンなどの焼き菓子、最後にプチケーキなどが出てくることが多いかと思われます。
貴族社会ではマナーがあり、食べる順番も決まっていたようですよ。サンドウィッチ→スコーン→ケーキと進んだら、もとに戻って食べてはいけないなどの決まりもあったそう。ただし、婦人はまたサンドウィッチに戻っても良いことになっていたとか。紳士たちは見て見ぬふりをするのがマナーだったようです(笑)。
私たちは自由にたのしめるので、嬉しいですね。
見た目も美しく、宝石箱のようなスイーツが3段プレートで運ばれてくるとテンションが上がってしまいます。
味覚だけでなく、視覚でも楽しませてくれるアフタヌーンティーですが、やはり私は様々な種類の紅茶で嗅覚も愉しめることが嬉しくて!
まずは紅茶のメニューをじっくりと眺めて、頂いたことのない紅茶や、お店のブレンドティーは必ずオーダーします。ほとんどのお店が紅茶の種類を変えてよいので、本当は全て味わいたいくらいなのですが、さすがにできず、4~5種類の紅茶に絞ります。それでもポットサービスで出てくることが多いので、いつもお腹がタポタポになってしまいます(笑)。
口の中の脂肪分を洗い流してくれる紅茶のおかげで、ふたたび食べ物の一口目の感動を感じられるので、たくさんのスイーツが出てくるアフタヌーンティーも飽きずに美味しく頂けます。
アフタヌーンティーとは元々は西洋の貴族文化と言われています。アフタヌーンティーと聞いて、どのようなワードが思い浮かびますか?
ここでちょっと豆知識。
アフタヌーンティー(午後の紅茶)はイギリスの侯爵夫人アンナ・マリアが始めた習慣で、盛りだくさんの朝食(イングリッシュ・ブレックファースト)により、昼食は軽く、社交を兼ねた晩餐は音楽会や観劇の後20時以降と遅かったため、その間の空腹が苦痛で、お腹が鳴るのを防ぐために始めたといわれています。
アンナ・マリアは訪ねてきた貴婦人たちを誘って、『晩餐までもたないから、一緒にいかが?』と焼き菓子やサンドウィッチを頂き、紅茶を飲みながらおもてなしをし、交流を深めていたのですね。
贅沢、優雅といったイメージのアフタヌーンティーも意外と「お腹が鳴ったらどうしよう・・・」という女ごころがキッカケだったとは。何だか身近に感じられますね。
皆同じ想いをしていたのか、すぐにこの新しい習慣は人気となり、アフタヌーンティーが午後の社交の場として広がっていったそうです。
新しい習慣を取り入れたアンナ・マリアの柔軟性がとっても素敵。
いつの時代も、既存の習慣や習わしをニーズに合わせて変えていく力が新たな習慣や文化を作っていくのだと感じました。
やはり、大切な人たちと共に過ごすティータイムは、こころを通わせ、人と人とのつながりを深めるのに良い豊かな時間。
世界中、現代においても形を変え、貴族だけでなく、アフタヌーンティーを愉しむ文化が続いている理由だと思います。
忙しく、大変なことも多い今の時代だからこそ、たまにはゆっくり優雅な気持ちでアフタヌーンティーを愉しんでみるのもいいですね。
そろそろ紅茶のおかわりはいかがでしょう。
次回は和紅茶についてお話ししようと思います。