紅茶コーディネーターのイノチカが、さまざまな角度から紅茶と共に過ごす時間をご提案するオリジナルエッセイ。
好きなのは紅茶を愉しむしあわせな時間と空間。
一人の時もあれば、大切な誰かと一緒の時も。自宅をはじめ居心地の良い場所でのTeatime。
私の人生の中で、紅茶と紐づく記憶は、いつもしあわせと結びついています。
暮らしに紅茶を取り入れて、日常にもっともっとしあわせな時間を増やしていくことができたなら……。
紅茶にまつわるあれこれを綴ります。どうぞ紅茶を片手にお付き合いください。
《Tea and・・・旅の始まりは紅茶の香りに包まれて》
旅立つ朝、ふと「忘れ物はないかな?」「チケットは大丈夫?」「出発時間に間に合うかしら…」と、なんとなくそわそわしてしまうのは、私だけではないはずです。
今年の6月末から7月初旬にかけて、続けて2回も飛行機に乗る機会がありました。
最初は国内、続いて海外。それも一人で。
飛行機に乗ることは、子どもの頃から大好きで、苦手意識はありません。ただ、やはり空を飛ぶという非日常の体験には、少しだけ緊張感も伴います。出発前の手続きや検査、搭乗ゲートまでの移動なども、思ったよりも時間がかかるものです。
以前、渋滞に巻き込まれて飛行機に乗り遅れた経験がある私は、無事に現地にたどり着けることを最初のミッションと考え、心にも時間にもゆとりを持てるよう、早めに空港に着くようにしています。
そして、このゆとりの時間を使って楽しむのが、私の大好きなティータイム。
これは、私の旅のプロローグです。
空港に着いて、落ち着く場所で紅茶を頂きながら「ここまで来たら、あとは何とかなる。」と準備であわただしかった心を整えて、旅先での過ごし方に想いを巡らせます。また、行き交う人々を眺めながら「この人は仕事で出張かな?」「あの家族は帰省かしら?」とそれぞれの行先を想像するのも楽しみです。
ティータイムをどこで過ごすかは、その日の気分次第。空港のカフェやラウンジでは、紅茶はノーブランドのティーバックでの提供がほとんどで、美味しさはあまり期待していません。それよりも、お店を選ぶときはゆっくり過ごせそうかどうかを基準に選んでいます。
そんな中、今回立ち寄った羽田空港第一ターミナルのcaffe【LAT. 25°】で、嬉しいサプライズに出会いました。
老舗ロースター・三本珈琲が手掛けているこのカフェは、シックで落ち着いた内装で、雰囲気がとても良かったです。珈琲にこだわりがあるお店ですが、紅茶のメニューももちろんありましたので、ホットティーを注文したところ、思いがけなく「茶葉はどちらにしますか?」と尋ねられたのです。
茶葉を選べるとは思っていなかったので、驚きながらも目に留まったUVAをお願いしました。
しばらくして、紅茶の入った見慣れない透明な容器とマグカップが出され、「こちら、3分待ってからマグカップの上にのせてくださいね。どうぞごゆっくり」といわれました。
その容器にはポットのような注ぎ口は付いておらず、これを空のマグカップに乗せるの??と、すぐには仕組みが理解できませんでした。その容器は底にフタのようなものが付いており、マグカップに乗せることで、フィルターを通って紅茶が注がれる仕組みになっていました。ティーポットとは少し違いますが、しっかり茶葉をジャンピングさせた紅茶を抽出できる容器です。
「こんな淹れ方初めて!!」と二度も驚かされ、とても思い出深い経験ができました。

UVAの紅茶をいただきながら、出発前のひとときを心ゆくまで堪能。満足した私は「ありがとうございました。」と気持ちを伝え、足取り軽く手荷物検査場へ向かいました。
紅茶はリラックス効果と殺菌効果を兼ね備えた、私の旅の必需品です。
そして旅先での紅茶との出会いも、また大きな楽しみです。
そろそろ紅茶のお代わりはいかがですか?
これからご旅行に行かれる皆様にも、美味しい紅茶との素敵な出会いがありますように。