歌舞伎をほぼ毎月楽しんでいる50代男性。毎月観るために、座席はいつも三階席。
初心者ならではの目線で、印象に残った場面や役者さんについて書いてみます。
市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 十一月吉例顔見世大歌舞伎、いよいよ夜の部には、十三代目市川團十郎白猿ならびに八代目 市川新之助による襲名披露口上がありました。
口上とは、舞台の上から役者が観客に挨拶をすること(「知識ゼロからの歌舞伎入門」/幻冬社 参照)。
松本白鷗さんが、襲名する役者のご紹介をする役でしたが、体調不良により公演をお休みされているので、この日はその役を尾上菊五郎さんがされていました。
團十郎さんと新之助さんが中央、彼らを囲んで、上手に菊五郎さん、梅玉さん、期間限定で玉三郎さん。下手に左團次さんと仁左衛門さんという、本当に豪華なメンバーです。
ちなみに、この襲名披露口上は11月7日(月)にオンライン生配信が行われたのですが、
私はそれもオンラインチケットを購入して観ました。その日は白鷗さんがご出演されていましたので、観ておいてよかったなと思います。
チケットは500円で、アーカイブ配信もありました(販売期間は終了済)。
コロナ禍によりオンライン配信がメジャーになったことで実現した取り組みといえるのではないでしょうか。時間は15分程度です。
さて、本題の歌舞伎座での襲名披露口上に戻ります。
二、「口上」
ずらりと並んだ先輩役者は、襲名した本人たちとのエピソードを語り、時にはクスリと笑わせ、叱咤激励します。團十郎さんのお父さん、十二代目との共演経験などを語る方もいます。海老蔵改め市川團十郎白猿さんは、皆さんご存じの通り、いろいろありましたから、その辺りの皮肉が出るのもお約束といえば、お約束。
「若い頃は暴れん坊将軍」と紹介されてもいました。
口上で他の方が挨拶している間は、とにかくその他の人は皆、頭を下げています。
まだ幼さも残る市川新之助さんに対しては、「期待」の二文字を込めた挨拶、メッセージが続きました。
それにしても新之助さんのプロフィール写真を見ると、もう完成された凛々しく、美しい顔。人気役者になることを約束されているといえそうです。
三、「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」
助六実は曽我五郎を團十郎、三浦屋の傾城(遊女のこと)ナンバーワン、揚巻を尾上菊之助さんが演じます。助六は敵討ちのために友切丸という刀を探していて、そのために行く先々で喧嘩をふっかけては刀を抜かせようとします。
助六を好いている揚巻は、上客である尾上松緑さん演じる意休に好かれていて、その意休を怒らせようと悪態をつく助六。
同世代の3人が絡むシーンです。
助六は伊達男、モテない男たちをバカにするような台詞もあって、そりゃあ相手は怒るよねと思いますが、新之助さん演じる福山かつぎが意休の子分で片岡仁左衛門さん演じる門兵衛に言いがかりをつけたのを割って入って、こてんぱんにするなど、ダークヒーロー的な魅力があるのがこの助六なのかもしれません。
やがて、噂を聞きつけた兄・曽我十郎が白酒売になりすまして助六実は曽我五郎の前に現れ、その行いや振る舞いに苦言を呈します。
また、二人の母親である魁春さん演じる曽我満江も登場し、息子の行いの真意を確かめます。
ストーリーもさることながら、この演目は初っ端からとにかく傾城たちの衣裳が派手で豪華。
鴈治郎さん演じる里暁が道化役のように助六とやりとりする場面はまるでコントのようで、皆、クスクスと笑ってしまいます。
個人的にはあまり好みのお話ではないのですが、歌舞伎の見せ所がたくさん詰まっている作品なので、拍手も多く、なによりたくさんの役者が舞台に登場するので賑やかで目が足りなくなりました。
次の十二月大歌舞伎も、引き続き襲名披露公演になります。「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」も、続けて上演されますが、配役が異なりますし、十二月は今月歌舞伎座に出演しなかった役者も出ますので楽しみです。
里暁を市川猿之助さんが演じますから、ここは相当やりたい放題になるのではないでしょうか。
また三階席からたくさん笑って拍手をしたいと思います。
ちなみに、写真の幕は、幕間に公開される襲名披露のための祝幕。デザイナーの村上隆さんの作品です。定式幕が開いてこれが現れた時は、やはりざわつきました。
私も思わず三階席から降りて一階席後方から写真に収めました。
https://entameseiri.com/3f_kabuki-2022nov-2/