日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。
栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
これもまた、知っている人は知っているハナシ。
そして見覚えがある人もいてくださるかもしれない写真。
これは長年、私が使用している名刺の写真だ。
勤めていた会社からリストラ宣告されて、退職日を迎えるまでの幾日かで
私は友人に名刺の作成を依頼した。
当時のやりとりを振り返ったら、会社の同僚にデザイン案を見せて意見をもらっていたようだ。
11年も前のことだ。
以来、フリーの編集&ライターになってからずっと、この写真を使った名刺を使用してきた。
文字が読みづらいとか、まあいろいろご指摘を受けたこともあったが、
素敵!とか、らしい。とか言われることも多く、
何より私自身がとても気に入っていて、数回のカスタマイズはしてきたものの、
変更はしなかった。
名刺のデザインはこのサイトのデザインも手掛けてくれた長年の友人で
イラストレーター・グラフィックデザイナーのmuma designの牟田口由季さん。
彼女に名刺を依頼する時、デザインの参考にして欲しいとこの写真を送った。
当時使っていた伊達メガネを、お気に入りカラーのプレイスマットに置いてケータイのカメラで撮ったものだ。
このツルの部分のカラーというか彩りが気に入っていたのだ。
ストライプを活かしてくれてもいいし、あくまでもこういう色の組み合わせが好きだと伝えた。
長年の友人である由季さんの思う「私っぽさ」があったらうれしいとオーダーしていた。
届いたデザイン案の中で2案はこのフレームの色&柄が活かされたものだった。
そしてもう一案が、「眼鏡の写真がすごくいい感じで撮れてるな~と思ったので、
まんま、どーん!とレイアウトしてみたよ。」
とのことだった。
満場一致でこのデザインに決まった。
ちなみに私の名刺はこの写真を縦に使ってデザインしてもらっていた。
なんとなくケータイで撮ったものが採用されたというこのエピソードは、
以来、名刺交換をして「なんで眼鏡なんですか?」と聞かれるたびに
「実はですね……」と話題にしてきた。
つまりこれも十八番のネタである。
このエピソードを話すと、漏れなく、
・長年の友人がデザイナーであること
・あまり気合入れずに撮った写真が結構いい感じだったこと
・好きなテイストをオーダーする時のラフな方法
などが話せる。
加えて、「なんで眼鏡か」という質問に対して、
「ライターなんで、よくモノが見えるように」
という意味も後付けしたことを話してきた。
とびきりのエピソードなんて、そうそうあるものではない。
もちろん名刺に必ずリアクションがあるわけでもないし、
そんなやりとりをする時間もない名刺交換だってたくさんしてきた。
でも、これで11年やってきた。
いただく名刺もデザインが素敵だったり、紙が気持ちよかったり、
工夫があったりするとつい気になってリアクションすることも多い。
自分が裏面も使っているので、必ず人の名刺も裏面を見てみる。
時代はデジタルが主流となり、名刺交換不要論もある。
コロナ禍もあり、名刺交換の機会自体も減っている。
私も機会はめっきり減った。
だから名刺やめます!があってもいいと思う。
でも失くしたくないのは、その一枚で話のきっかけを作ったり、
相手のセンスを感じたり、
何より「気づく・気にする」という感覚。
それが証拠に、この名刺一枚で一本書けたもんね。