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わくわくの例外

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

人生初のことに出会うと、純粋にわくわくすることが多い。
でもこの人生初は、トホホ感が強く、わくわくとは程遠かった。

先週は金木犀の香りと秋めいた夜風に気持ちがほころんだというのに、
今週のこの寒さには思わず眉間にシワが寄る。
義母宅に行く時も帰る時も雨。
特に帰りの雨風がすごかった。

お気に入りのレインシューズを履いているから足元は万全だった。
背負うのは折り畳み傘と同じ材素材の生地で作られたリュックだから、PC持ち運びもまあ安心。
寒さしのぎと中途半端に伸びた髪を隠すためのニット帽もお役立ちだ。

ここまで万全だったのに、今日は珍しくビニール傘を持っていった。
これがわくわくしない人生初の出来事の始まりだ。

すっかり暗くなった義母宅から最寄り駅への帰り道。
うっかり水たまりに足を踏み入れないよう、通りすがりの車の水しぶきを受けないよう、
暗い中を慎重に歩き出す。
とはいえ電車の時間に間に合うように急ぎ足、ワイヤレスイヤホンにはガンガン曲を流して歩く。

雨は激しく、風もそこそこある。
先にあげたポイント以外があっという間に濡れていく。
そうして歩くうちに、いつも比較的風が強く吹くルートに差し掛かると
さしていたビニール傘の形が、特にその傘の骨の形が変形していることに気づいた。

くじけず風を避け、雨を避ける。
傘の骨が曲がる。

ようやく駅に着くという近くまで来た時、ビニール傘はほとんど機能しなくなって
あきらめた。

レインシューズと防水対応のリュックとニット帽で、なんとかなった。
ズボンはビショビショだったけど。
傘はといえば、改札を通るタイミングでよくよく見ると、ほとんどの骨が変形し、
たたもうにもうまく閉じることができないほど。

台風やその他の状況をニュースで伝えるときによく見かける
「傘がひっくり返って、骨も折れて、壊れちゃった」のシーン。
そういうのはお約束シーンとしてインプットされていたのだけれど、
自分でさしていた傘がそうなるっていうのは、そうだ、初だ。

もう使えない。
燃えないゴミは次は何日だっけ?
人生初でもわくわくしないことってあるんだなってことを初めて知った気がした。