日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
今月の「ひつじのまなざし」で取り上げられていた作品は『相棒』だった。
この大人気シリーズが、実はスペシャルドラマからスタートしていることとか、
シリーズ当初の脚本は、今年のNHK大河ドラマ『どうする家康』や『リーガル・ハイ』などを手がける古沢良太さんも担当されていたことなどは、夫から聞いて知ったことだった。
「ひつじのまなざし」で、イギリス好きの右京さんのお仕事スペースを徹底チェックしていたので、「右京さんのイギリス好きがわかるエピソードを教えて」と聞いてみた。
すると、イギリス好きというか、イギリスにまつわる回の話なら……と、Season1 第7話「殺しのカクテル」について語りだした。
蟹江敬三さんが犯人の回。
三好(蟹江敬三)がレストランバーをチェーン展開する倉沢を殺害した理由は、缶入りカクテルの発売を強行しようとしたため。
事件の鍵を解くきっかけは、亀山薫(寺脇康文)の恋人、美和子(鈴木砂羽)の叔母でイギリス帰りのアキコ(草村礼子)と亡き夫との思い出のカクテル「ベストパートナー」。
アキコとイギリス人の夫とのエピソードを聞いて三好がオリジナルで作って提供した梅干しとミントとジンで作ったオリジナルカクテルだった。
被害者の胃から出て来たのが、この材料だったことから、右京さんはこれを作った三好を犯人と特定。
否定する三好だったが、思い出のカクテルを飲みたいと願うアキコに再び振る舞い、静かに
罪を認めた。
夫はこの回をもう何度となく見ていて、ノベライズも読み、さらに何度も見ているらしい。
私も一、二度見た記憶がある。
イギリスと言えば……で真っ先に思いつき、この回が好きな理由とあらすじをうっとり話してくれた。
アキコ役の草村礼子さんのお名前が思い出せなかったのと、バーの名前を「リメンバー」(本当は「リメンバランス」)と言ったくらいで、後は諳んじて説明したのだ。
トータルで何回見たのかカウントしておいてほしかったと思う。
そういえば夫はコンプリートしていた「相棒」のノベライズ本を、ある時、古本屋に持って行った。
収集癖のある私は、数少ない「好き」なものをなぜ手放すのか聞いてみた。
惜しいという気すらしてしまい、「手放さなくてもいいのに」なんて言ったりもしたほどだ。
でも夫は、「何度も読んだし、どうしても欲しければまたその時に手に入れればいいから」
と言ったのだ。
整理収納アドバイザーの私より、モノへの向き合い方がしっかりしている。
そして今回、「相棒・イギリス」というキーワードで、お気に入りのエピソードをこんな風にスラスラと話せる様子を見て、
改めてモノがそこにあることが大事なわけではないことを思った。
ちょっと悔しいような気もして、
「このエピソードを好きな理由には、「アキコ」という名前が出てくるからだと言ってくれればもっといいんじゃない?」と言ってみた。
困ったような顔をした夫を見て、ちょっと得意気になっている私は、
コンプリートがやめられない困ったアドバイザーである。