理由あって週イチ義母宅に通っている。
これは、主にその週イチに起こる、今や時空を自由に行き来する義母とその家族の、
ちょっとしたホントの話だ。
月一回のケアマネージャーさんの訪問日。
この日に、週4回通っているデイサービスでの資料をまとめて受け取る。
計算ドリルやぬり絵はすでに目にしていたことがあったが、短歌の写しなんていうのもあって、
いろいろ工夫してくれているのだなあと感心するやら頭が下がるやら。
元教師の義母は課題を真面目にこなすタイプに違いない。
その時どんな表情で取り掛かっているのかは知る由もないが
恐らく真面目な顔でしているんだろう。
ぬり絵をパラパラとめくっていると、バラのバージョンが何枚も何枚も出てきた。
バラの季節だからね。
日付を見ると六月十日とか九月十日とか、それこそバラバラだ。
実際は十月だから合っている日付はなさそうで、
六月十日って私の誕生日だけど、それはただの偶然だよね。
バラのぬり絵だけ並べてみたら、はみ出さずに丁寧に塗れているのはどれにも共通しているけれど、
色使いは微妙に違っていたりして、「いいね~、いいじゃない~~」と
何目線かわからない反応をしてしまった。
ケアマネさんからも褒められて謙遜しつつ嬉しそう。
そこで私はカバンの中からハンドクリームを取り出し、義母とケアマネさんと私の手に
ちょんちょんちょんとクリームをつけた。
先日バラ園で購入した「薫乃」という素敵な香りのバラのハンドクリームだ。
それを3人で手に塗り込みながら、
「いい香りでしょう。バラの香りだよ。」と得意げになる私。
ケアマネさんは忙しくてハンドクリームを塗る時間もなくてガサガサだったから嬉しいと喜んでくださり、
義母は香りにはあまり反応していなかったけれど、手に塗るその感触が気に入っているようだった。
実際問題、シビアな話もそれなりにあるけれど、
ケアマネさん滞在の数十分を私なりに演出したのかもしれない。
バラのぬり絵と、バラバラの日付と、バラのハンドクリームを塗る行為がつながったようで、
少しだけ心が軽くなる午後になった。