ドラマの中には暮らしや整理収納のヒントがあふれている。
あのテレビドラマのシーンから整理収納のプロが分析・解説する!?
ちょっとニッチなドラマレビュー。
小さなころからテレビドラマが大好きです。
妄想癖がある私は画面を見ながら自由自在に思いを巡らせていました。
整理収納アドバイザーになってからは
そのシーンや内容は「整理収納」とリンクしても楽しめるようになりました。
今回私が取り上げるドラマは、福原 遥さん主演の「マル秘の密子さん」です。
福原遥さんと言えば NHK 朝ドラ「舞いあがれ」のヒロインや昨年の大ヒット映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」でも主演を務めた清純派ど真ん中の女優さん。
ですが、今回は少し違った魅力も見せてくれています。
主人公の本宮密子(福原遥)はトータルコーディネーター。
この仕事は依頼人のファッションからメイク、立ち居振る舞いに至るまでコーディネートする仕事だ。
物語の舞台になるのは同族経営の大企業「九条開発」。ある火災現場で社長を助けたのをきっかけに社長の介護をしていた今井夏(松雪泰子)は、社長の「福祉の街を作りたい」という夢に共感し、「私たちは同じ夢を持っている。これは私たちのプロジェクトだ」と言われていた。
社長はその後亡くなり、夏はその遺言から九条開発の全株の保有者になり、社長候補となったが、それに反発する元社長の子供たちや妻の欲にまみれた争いに巻き込まれてゆく。
そこへ密子が現われ、元社長の不可解な死因とこれまで周りの事ばかり考えて生きてきた夏
に「社長は同族経営を断ち切り、夢を託すために株を託したのではないか」「あなたが変われば世界が変わる」と説得し、夏をプロデュースして社長になる手助けを始める。
夏が変わっっていくことで、子供たちやそして本当は別の目的を持って夏に近付いた密子までも変わり始めてゆくが……。
地下の資料室は鉄板
夏には息子の智(清水尋也)と娘 彩(吉柳咲良)がいて二人とも九条開発の契約社員である。
息子がパワハラで地下の資料整理室に行かされたのをきっかけに豪華な役員室が落ち着かな
かった夏は「ここを役員室にしたい」と希望して、それ以降そこは「墓場」から「特別役員室」に生まれ変わる。
「地下の資料室」というものは昔からドラマの主人公の秘密基地のような場所として君臨してきた。「ショムニ」や「悪女(わる)」もそうだった。つまり物語の中心的な舞台になる。それだけでなんだかわくわくする。
では、早速その地下資料整理室を見てみよう。
積みあがった未処理の書類やパソコン。封筒に入ったままの資料の束。上手に使われていないスチールラック。アドバイザーとして突っ込みどころ満載である。
片づけている場面はさらっと流されて、現在はいい感じのヴィンテージ風な家具や雑貨が並
び柔らかな日差しが差し込む「特別役員室」に変化している。
夏の居場所は役員室にありがちな偉そうな机ではなく、中央に置かれた木のテーブルで、そこに密子も智や彩も皆が囲んで座っている。この方がチーム感が出て、なかなかいい。
机の横にはもう一つ小さな机が置かれていて、文房具やいらなくなった書類を束ねるのに使
うのであろうか、梱包セットなども見える。
テーブルは何かと皆がモノを置きがちだが、このようによく使うものの定位置がテーブルのすぐ脇にあることでテーブルはいつも何も置かれていない状態を保つことが出来る。
小さなテーブルがなかったらワゴンでも代用できる、家庭でもお勧めの収納だ。
和室も楽しく DIY
もう一つ注目したいのが今井家の収納だ。
玄関を入るとすぐにダイニングになっていてその奥が和室のようだ。
「ようだ」というのは壁紙からインテリアまですっかり洋風になっているので和室の面影はほぼないからだ。和室の面影があるのは、ボコボコした床柱が残っているところと押入れだったところがいい感じのワークスペースになっているところだ。
押入は収納空間は広いが奥行を使い切るのが難しく、結局様々なものが溜まりがちだが、中
段を机の寸法と考えると約90×180でかなり大きな机として使うことが出来る。ゆったりし
たスペースにパソコンや雑貨を置き、彩の個人スペースとして楽しんでいるようだ。
ふすまを取り外すことで空間も広く見え、一石二鳥と言える。
この家は全体的に娘の彩が DIY をして楽しんでいるようで、壁紙の種類だけでも相当種類があって見ていて楽しい。そして何と言っても間接照明が凝っていて、今井家の柔らかな温かい雰囲気を醸し出している。
密子には酷評されていたが、毎回細かなところに目が行き、視聴者として楽しんでいる。
さて、このドラマのテーマ「あなたが変われば世界が変わる」だが、一歩踏み出せば何かが変わるかもしれないということをさしている。
整理収納の現場でも踏み出してご依頼くださったお客様にまず伺うのは、ドラマでもたびたび出てくるセリフ「あなたはどうなりたい(したい)ですか?」という問いかけだ。
ドラマもお片付けも結局そこが肝となる。
それぞれの登場人物が「どうなりたいのか」に向き合うことで、今後の展開に大きく影響がありそうだ。
それにしても毎回出てくるかき氷の美味しそうなこと! 連日の猛暑にへきえきしている方。
そのビジュアルだけでも見てほしい。