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秋の安芸たび②_心ゆくまで「とり(い)」尽くせ!

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

何十年ぶり過ぎてほぼ初、みたいな状況で広島に行ってきたのは昨秋のこと。
牡蠣づくしのおいしい旅だったのが前回。

秋の安芸たび①_心ゆくまで「かき」尽くせ!日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。2024年11月に訪れた秋の広島・宮島の旅をつづるシリーズその①。2泊3日で食べたおいしい牡蠣料理の話。 ...

今回は、2日目に宿泊した宮島口のホテル「安芸グランドホテル」からスタートした鳥居づくしを振り返ろう。
全194室を備え、宮島へ渡るフェリー乗り場にも近いこのホテルには、<嚴島神社ナイトクルーズ>なるオプションがあった。
宿を予約してくれたCさんがこのオプションにも事前に申し込んでくれていたので、ホテルチェックイン後は、ひとっ風呂あびて、夕飯を済ませて、ナイトクルーズへ……という段取り。このあたりのエピソードはまた別途綴るとしよう。

ナイトクルーズはホテルにある桟橋から出航する。
律儀に時間通りに桟橋横で待っていたら、なかなか人が集まらず「あれ、今日ってほかに申込なかったのかな?もしかしてほぼ貸し切り!?」などと言っていたら、ロビーラウンジに出航を待つ参加者がうじゃうじゃいた。(そりゃそうか)

船は満席になり、真っ暗な夜の海を進み始めた。静かな静かな海だ。
正面には黒い稜線が見える。それが対岸の宮島。
ガイドさんがマイクでお話ししてくれているが、音が小さくて正直あまり聞こえなかった。
船のモーター音と、水をかき分ける音を聞きながらしばらくいくと、座席を立って2階にあがっていいとのこと。
船は嚴島神社の大鳥居に近づいていた。


ウォーッ!!
たしかこんな声ばかり出していた気がする。
船上は大撮影大会になっていて、皆、無心でスマホを構えていた。
ライトアップされ、水鏡になった鳥居が美しい。


そしてドーンッ!!
その大鳥居を真正面に見上げた。
さて、ここでガイドさんからクイズ。
この正面に見える「嚴島神社」と書かれた扁額(へんがく)はどのくらいのサイズがあるでしょう?

答えは、畳3畳半分だそう。
正式には縦2.6×横2.45メートルだそうで、それを聞いて大鳥居がいかに大きいものなのかがわかる。いや、実際目の前にしてもわかるようなわからぬような、とにかくそのダイナミックさに驚いた。


驚くといえば、この大鳥居、重さは約60トンで自重、つまり鳥居の重さで立っているという。
自分の重さで立つ……なんだかいちいち身に沁みる。
ぐーんと近づいてから方向変換し、元来た桟橋へ船は戻った。
帰りの船内では、宮島の見どころや紅葉状況も挟んでくれて、ますます翌日が楽しみになった。
天気予報が少し気になるけれど、どうか本降りになりませんように。


こちらはホテルのロビーにある嚴島神社のジオラマ。向こうの奥の水上には牡蠣の養殖棚も再現されていた。

翌朝は、予報通りの曇天だった。でも朝からザーザー降りではないのはラッキー。
そういう少しのことでもありがたいなと感じられるのは、すでに嚴島神社の御利益、のような気になっていた。

フェリーで約10分。あっという間に宮島に上陸した。
時刻は午前11時少し前。
神社に向かう私たちとは逆方向に、中学生か高校生たちが小走りしていく。
集合時間が迫っているようだ。そう、修学旅行生たちは、朝一番に宮島での自由時間が与えられているみたいだ。一般の観光客とは時間をずらしての設定なのだろう。
きっと私の頃もそうだったに違いない。宮島に立ち寄った記憶はあるものの、あまり具体的なエピソードが残っていなかったのは、滞在時間がごくわずかだったせいに違いない。
それでもお揃いの土産物袋を手に、「急げ~!」と走る生徒たちの姿がまぶしくて、曇天も気にならない。

目の前が開けてくると、昨夜、真っ暗な中でライトアップされていたあの大鳥居が見えてくる。宮島お初のCさんもこの笑顔!


お鹿さまにも「こんにちはー」と挨拶しながらわくわくで歩を進めて行った。
この日は平日だったが外国人観光客も多く、すでににぎわいをみせていた。
明日からの週末にかけては、こんなものではないのだろう。


砂地を歩いていくと、嚴島神社の参拝入口に到着した。
ここからは順路に沿ってゆっくりと進んだ。
ここまで来ると、どこからでも大鳥居は美しく見える。これもいいね、これごしのあれもいいいねと何やらエセプロデューサーのつぶやきみたいにブツブツ言いながら撮ったり、見たり、見たり撮ったりだ。


そして、まだ工事中の高舞台と奥の本殿を背にすると、いよいよ真正面に見えてくる。
ドーンッ!!
そういえば、ナイトクルーズで教えてもらった扁額の文字は、こちらから見ると「伊都岐島神社」と書かれているそうだ。


この真正面からの写真を撮るために、私たちはこんな風に礼儀正しく並ぶ。
列の後ろの人に撮ってもらったりもする。
「撮りましょうか?」「あ、お願いしますー。私たちも撮りますよ」
「あのぉ、撮っていただいてもいいですか?そちらも撮りましょうか?」「あ、大丈夫でーす」
みたいなやりとりが列の前後で行われて、結構ハッピーな光景。
時間はかかるけどね。
時間がかかるといえば、本殿での御朱印受付はまさに長蛇の列だった。昨今の御朱印ブームを受け、この列はきっと年間を通じて半端ないのだろう。御朱印をお目当てに行く方は、並んで受け取るまでに相当の時間を要することを計算に入れておこう。

すっかり気分が高揚した私たちは、前日のガイドさんから、紅葉谷の紅葉はまだ早いようで、大聖院まで足を伸ばすと少し紅葉していると聞いたことを思い出し、そちらへ向かった。
そこでまたとっておきの体験をするのだが、それはまた別の機会に。

そこから戻ってきて、私たちはまた興奮する。時刻は午後2時半過ぎ。
そう、潮が引き、大鳥居まで歩いて行ける時間になっていた。
あの、夜の海に浮かぶ大鳥居が、あの嚴島神社の正面から見た海の中の大鳥居に近づける!


こうして近づいて、

こうして見上げた。

ちなみにここまで近づいても、畳三畳が実感できない私は、サイズのわからない女認定で
いい。もうなんだっていい。
よくぞこんな見事なものを作ったなぁとただただ口を開けてしまった。
ちなみに、この2本の主柱はクスノキの自然木。ああ、クスノキに呼ばれているんだ、私ってば。と、この話もいずれまた。

やっぱり何度でも真正面から撮りたくなってしまうのが鳥居ってなもので。

時刻は午後4時50分。2日間にわたり見つめつづけ、撮り(い)続けた大鳥居に別れを告げて宮島を跡にした。

平安時代、平清盛が海上社殿として創建した嚴島神社の大鳥居。
自重(じじゅう)、自分の重さで立ち、潮が満ちる時も干く時も見事にそこに立ってきた。

同じ字で自重(じちょう)は、自分の行動をつつしむこと、自分のからだを大切にすること。自愛の意味を持つ。(三省堂国語辞典 第八版より)

高校生の頃に見てもその大きさを記憶しておけなかったけれど、今、この年に見れば気づけることがあるのかもしれない。
正面から、斜めから、横から、足元から見たこの大鳥居をきっとずっと覚えていたい。

安芸グランドホテル 宿泊者限定「世界遺産ナイトクルーズ」
※要予約

出航予定時間 20:00~21:20 (当日の予約状況によって便数・運航時間が変更になる場合がございます。)
所要時間 約30分
乗船料 大人:2,000円(サービス料込・消費税込)
子供:1,000円(サービス料込・消費税込)
船内定員 45名