日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
いくつになっても初めてのことはある……っていうのは、よく口にすることだ。
超保守的というわけでもないけれど、自分からなんでもどんどんチャレンジするタイプでもないので、初めてのことはまだまだこの先にもたくさんありそう。
で、この夏の初めてのことといえば「夏フェス」行くことだった。
「SUMMER SONIC 2025」通称サマソニ。
期待や不安が入り混じりの、月初の心境は気分でわけるくん。で表していた通り。

ここからは、私のサマソニ体験記。たぶんダラダラと書くことになりそう。
暑い夏の、とびきり暑い8月の真ん中に、まるっと一日楽しんだシニアの夏日記という感じでおつきあいいただきたい。
8月の野外フェスがどれだけ過酷かはわからない。でもニュースで「極力外出は避け、無理をしないように」とメッセージされているのを守って、炎天下に出ることなんて避けまくっている。昨年までは「野外フェスだけは無理」と口にしてきた。
無謀ともいえるチャレンジをするのだから、装備は怠ってはいけない。
リュックタイプにもなるショルダーバック、首元の日よけがついているアウトドア用ハット、冷感タオル、スプレー、涼しいコットンのパンツ。なんだかんだと仕入れてチケット代プラス装備品で経済を回した自負がある。
前日、これもいろいろな有識者の知恵に従い、ペットボトルに6割程度の水を入れ、斜めにして凍らせ、翌朝そこに水を足して作る水ボトルを2本用意して家を出た。
サマソニは、わが家からはかなり便利な距離、幕張エリアで開催される。
お目当ては、ヘッドライナーのアリシア・キーズとBE:FIRST。
アリシアは夕闇と共に、スタンドから音に酔いしれればいいわけだが、BE:FIRSTはよりによって登場が13:25。でも観たい、聞きたい。
そんなわけで、朝イチ整理券なるものも追加で購入してしまった。
開演は11:00。朝イチ整理券を持っていると9:00に入場できる。
しかし、整理券の入場時間より前にオフィシャルのゲートをくぐっていなければならないというルールだ。
こんな時、私はついついラフな時間の読みしか出来ないので、慎重派の夫に相談して出発時間を逆算してもらった。この夏の一大イベントだもの、そりゃあ早起きして、気合い入れて出かけなくちゃだ。
私たちはJR幕張本郷駅から、マリンスタジアム行のバスに乗るつもりだった。
しかし、野球の試合の時に出ているマリンスタジアム直行バスは走っておらず、幕張メッセ&マリンスタジアムの最寄り駅、海浜幕張駅止まりのバスに乗るしかない。
最初の誤算だった。近さゆえの油断というやつである。
とはいえ、幕張メッセはその昔、何度も仕事で訪れていたし、朝イチ整理券を手にしている人たちが向かう人波はもう出来ている。
イベント前の高揚感も手伝って、駅からの道をずんずん進んだ。
ニュースで目にした人も多いだろうが、この日のマリンスタジアムのオープニングには、Mrs.GREEN APPLEが出演した。これは最後の最後に発表になったので、せっかくならミセスも観たいよね……というテンション。
スタジアムに向かう人波のなかには、彼らのファンであることがわかるグリーンのTシャツ(サッカーユニフォームのようなデザインで可愛い)を着た人も大勢詰めかけていた。
人波の中には、その次のステージに登場するJO1のファンやBE:FIRSTのファンとわかるTシャツを着た人もたくさん。その中に、サマソニ猛者という感じの人も所々に混じっている。
歩道橋を渡り、入口ゲートに向かうと何やら係員が声を出している。問い合わせしている人もチラホラいて、今来た歩道橋を戻る人たちも。ん、なんか嫌な予感。
「朝イチ整理券をお持ちの方は、ゲートが異なります!」
歩道橋の分岐点にはそんなことひと言も書かれてなかったやーん!!
来た道を引き返し、中央ゲートから入るための長蛇の列にひたすら並ぶことになった。
午前8時30分、当たり前にもう暑い。
そうこうして、ようやくメインゲートにたどり着いた。
電子チケットを手に、いよいよ入場だ。入口で手荷物検査があった。プロ仕様のカメラの持ち込みは禁止、ビン・缶の飲み物もNGだ。
そして私は、初めて左手首に「SUMMER SONIC」のリストバンドをつけてもらった。
このリストバンドがあれば、マリンスタジアム、幕張メッセほか複数のステージを自由に行き来できることになる。
ライト側の朝イチ整理券を持った私たちは、番号で区切られた待機所で開場までの時間をつぶした。混乱はなく、皆、期待に胸を膨らませている。
ここで面白かったのは、開場を待つ私たちへの係員の案内スピーチだ。
ブロックごとに、開場後の動き方を説明してくれた。
どういうことかというと、前のブロックの人たちが入場して空間が出来ても勝手に詰めたりせず案内を待つようにとのこと。将棋倒しのような事故が起きないための事前告知で、それはそれは丁寧に根気よく説明していた。
それはまるでD.J.ポリスのように上手なしゃべりで、強すぎず、弱すぎず、お願いベースでアナウンスしていた。
私の整理番号は500番台。その周辺と、1000番台付近の人たちにそのアナウンスがされる。
「~~~~なので、前が空いても絶対に案内するまで詰めないでくださーい」
「はーーい!」
そのエリアから、なんとも素直ないいお返事が響いた。もちろん私も返事をしていた。
アナウンス係のお兄さんは、満足そうな嬉しそうな表情で、「ご理解ありがとうございます」みたいなことを言ってたっけ。
フェスを楽しみに待つ音楽ファンたちは、皆、素直でいい人たち。無反応じゃなくて、そんな風にコール&レスポンスする感じがもう楽しい。
そんな事前の丁寧なアナウンスのおかげもあって、朝イチ整理券を持つ人たちは混乱なくスタジアム内に入ることが出来た。
マリンスタジアムのグラウンドに足を踏み入れると、目の前に巨大なステージがあり、センター中央にステージがつながっている。
私たちはステージに向かって右側、機材エリアがある前のフェンスに陣取り、開演を待つことにした。
続々と観客は入場しているが、とりあえずの立ち位置が確保できたことに安堵し、体力を温存すべく時間をやり過ごす。でも日差しは容赦なく強くなっていく。
11:00。オープニングを飾るべく、Mrs.GREEN APPLEのステージがはじまった。
(つづく)