日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。
人生初の「SUMMER SONIC 2025」通称サマソニ参戦。
マリンスタジアムに入場して、オープニングのMrs.GREEN APPLEのステージを観たあと、まさかの、いや、やっぱり! 日差しにやられて倒れてしまい救護スペースに向かったのが前回。

ゴキブリ体勢で倒れた私が誘導された先は、仮設の救護スペース。そこは、ベンチに腰掛け、うなだれながらひたすらに休んでいる人たちでごった返していた。
そういえばステージが始まる直前に登場したMCのサッシャさんが、注意事項をいろいろ伝えていた。水分、塩分とって、無理はしないで! と。その中でとても印象に残っている具体的な注意事項が、「倒れても、具合が悪くなっても救急車を勝手に呼ばないで」ということ。必ず救護スタッフを呼んで、救急車が必要な場合はスタッフが呼ぶという段取りで連携が取れているからと。
うーん、これ大事。個人的に呼ぼうとすると複数台出動要請がいっちゃったり、車をどこのゲートに来てもらうのかとか、混乱してしまうからだ。
長年の開催経験に基づく注意事項なんだなぁと思った。
あ、倒れた私はもちろん救急車云々の話ではない。救護スペースの隣には、もっとしっかりした救護室があって、より重症な方、歩けないような状態の方がそちらには運び込まれるみたいだ。
もらったポカリスエットはグヒグビと飲んだ。ちなみにPOCARISWEATはサマソニのオフィシャルスポンサー。スタジアムには昨年まで、水とお茶以外の飲み物は持ち込み禁止だったんだって。
グラウンドを守るため、だよね。
今年はスポドリはOKになったそう。ポカリスエットはグラウンド内にも販売ブースがあって、飛ぶように売れていた。ちなみにたしか1本300円。
ステージとステージの合間には、ポカリを持った人がビジョンに映し出されて、3、2、1でボーズをとるポカリチャレンジみたいなコーナーもあって、フェスらしいお祭り要素も盛りだくさんだった。
さて、救護スペースに戻ろう。
前回、夫がなかなか帰って来ないと何度も愚痴っぽく書いてしまったので、一応夫の名誉のためにその理由も紹介しておこう。
前回書いたとおり、トップバッターのMrs.GREEN APPLEのステージを見ようと、マリンスタジアムは2階スタンド席まで人だらけだった。
そのたくさんの人たちが、ミセスのステージを観終わって、いろいろな場所へ散っていく。
だってサマソニは、スタジアムのMARINE STAGE以外に、ビーチに設けられたBEACH STAGE、幕張メッセにMOUNTAIN STAGE、PACIFIC STAGEなど、計6つのステージでのタイムスケジュールが目白押しなのだから。
そんなわけで、スタジアムから出るだけでも大行列、さらに用を足した後も混乱を避けるために、一旦スタジアムを出る客足が落ち着くのを待ってから入場するよう規制されていたそうなのだ。
なるほど、だからなかなか戻って来られなかったんだ。
空調服を着ていた夫が、私にそのベストを着させた。冷感タオルはまだ少し効果があったけど、一番効き目があったのは、いわゆるかちわり氷だった。
夫も十分暑さが堪えていたので、それを首にあてながらベンチに座り、大きな扇風機の前で体を休めた。
隣の列のベンチには、若い女性2人が目線を合わせず座っていた。
そうしているうちにスタジアムからは、MARINE STAGE2番目の登場アーティスト、JO1のステージが始まったようだ。結構ここにいても声・音は聞こえるんだなぁ。
隣の列のベンチの彼女が半ベソで
「〇〇〇見たかったーーー」と駄々をこねる子どものように言っていた。
とってもオシャレだったし、彼らのステージに合わせてしっかりおめかししてきたのだろう。
「〇〇〇見たかったーーー」と半泣き声の彼女。
「・・・・・・・・・・・・」
恐らく同行者であるもう一人の彼女は、半ベソちゃんに「大丈夫だよ」とか「ほら、声が聞こえるよ」とか、「悔しいね~」などと余計なことは言わない。
散々言った後だったのかもしれないけれど。
これなの、私が恐れていたのは。
きっとね、誘ったのは半ベソちゃんなんだと思う。なのに「なーんこれ!」状態になって、いつまでも半ベソの彼女にしっかり白けていた様子だ。
私が勢いでサマソニ東京のチケットを取った時、初めは友人を誘おうと思っていた。
けれど、もし、万が一自分が倒れたとしたら、いろいろ諸々大変なことに付き合わせることになる。そう思って今回は夫に同行を願ったのだ。
その判断は間違いじゃなかったと実感した。
夫よ、迷惑かけてごめん。
救護スペースには、小さなメモの束があちこちにペンと一緒に置かれていた。
救護スペースに来た時間、帰れる時間、症状などを簡単に記入するようになっている。
つまり私は、サマソニ公式記録の中に、「当日、救護スペースを利用した人」としてカウントされてしまったことになる。
救護スペース内は、皆、ぐったりしていて、でもそれぞれ少し落ち着いた人からその場を後にしていく仕組みだった。たまに、すぐに戻ろうとして結局また、このスペースに逆戻りする人もいるみたいだった。
このスペースの担当スタッフさんが、随時様子を見ながら声掛けしてくれる。
ポカリスエットを飲み切っていた私に、「ポカリスエットもらってませんか?」と追加で1本くださった。ありがとう、スタッフ様。ありがとう、大塚製薬さま。
軽症で済んだ私は、もらったかちわり氷がビニール袋の中で融けたくらいのタイミングでその救護スペースを後にした。
ちなみにスタッフさんは、そのたくさんのかちわり氷の残骸のビニールを破って融けた水を地面に流すというとっても地味な作業も合間にされていた。
ありがとう、スタッフ様。
さあ、トイレに行って態勢を整えて、スタジアムに戻るぞ。
MARINE STAGEでは、ちょうどJO1のパフォーマンスステージが終了したタイミングだった。
(つづく)