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まさかのセルフ119_その②

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日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。栗原のエッセイ、つまりクリッセイ。

夫が腹痛を訴えることが続いたある日、私も在宅中に自分で119を呼んでまさかの緊急搬送未遂だったのが前回。

まさかのセルフ119日常の中から、エンタメを整理収納目線、暮らしをエンタメ目線でつづります。10月に起きた、夫と痛みとのたたかいについてのその① ...

休日明けの朝、職場の近くの病院に行って検査をしてもらうと出かけた夫から連絡が来たのは昼前のことだった。
胆石からの胆嚢炎だったとメッセージが来た。

本人も私も痛みの具合から検索し、もしかしたら……と話していたのだが、予想が当たってしまった。
紹介状をもらって、市内の病院に後日行くことになったとのことで、ホッとした私は夕方からの仕事に向けて準備をしつつ、PC前作業を続けていた。
もしかしたら、場合によっては手術になるかもという報告を受け、
人の痛みがわからない、ある意味「鬼」な私は、
「<夫婦で入院手術経験なし>の記録は残念ながら途絶えるのね」と軽口を叩いていた。
そんな風に言えたのは、原因がわかって安心したからでもある。
来月の歌舞伎は一緒に観に行く予定なので、日にちを決めたり、お気楽にしていた。
夜は炊飯器で「おかゆ炊き」予約などして、本当にお気楽にしていたのである。

そうして16時から、都内である公演を観ていた私。
一幕が終わったところで不在着信に気づき、留守番電話を確認すると……
夫のうめき声とともに、痛いので救急車を呼ぶというメッセージが残されていた。
緊急事態発生。事情を説明し、帰らせていただくことにして、電車に乗り込んだ。
あの電話はどこからで、どこの病院に運ばれるのか。電話をかけても当たり前につながらなかった。

まずは自宅に向かうけど、途中で連絡が入ればそこから病院に行くことになるだろう。
ちょうど一つ手前の駅に着いたところで、知らない番号から電話がかかってきた。
駅のホームで着信を受けると、病院からだった。
「本人相当痛そうでね、可哀想なのでこれから手術しちゃいますので」
文字にするとなんだか軟派だけど、その軽い感じがよくある手術なのだろうと、私の楽観的スイッチをオンにしてくれて、「お願いします」と電話を切った。
痛みの中、本人が同意書にサインもしたそうだ。
たしか背後で痛みにもだえる声が聞こえた。

運がいいことに、運ばれた病院は、最寄り駅から電車で約15分。駅から徒歩で行ける大きな病院だった。
降りたこともある駅だったので、私の中の冷静さは継続。
時刻は19時を過ぎていた、だろうか。
救急の受付から病棟に向かい、そこで看護師さんから手術はすでに終了していて、まもなく病室に戻って本人とも話せるだろうとのこと。
淡々と、でも明るくやさしく対応してくれる、感じのいいところだった。

待っている間に、コードブルー要請のアナウンスが流れて、ちょっとだけテンションが上がってしまったのは、まあ、許されるよね?
だって、病院に縁がなさすぎる私は、病院にいると具合が悪くなりそうになるタイプだと自覚しているのだもの。
思えば義母が入院していた時、病院に行くのが本当に苦痛だったよなぁ、などと思い出したりしていた。(あれは家から遠かったせいもあるし、寒い時期だったせいもある)

だいぶしてから病室に向かった。今夜はたまたま満床で、差額なしで個室なんだって!
本人は石を取ってもらえたことに安堵し、順調ならさほど入院は長引かずに退院できるらしいと前向きだった。
翌日、入院手続きで来ることを伝え、病院を後にした。

後にわかったことだが、午前中に病院で胆嚢炎を診断されていたことで、いろいろ処置と判断が早かったようだ。
昼食後、激痛に見舞われた夫は、先ほどの先生に電話をかけ痛み止めを処方してもらえるかとお願いしたらしい。
するとその主治医から「救急車を呼んだほうがいい」とアドバイスされたのだそうだ。
そう、つまりここでもまた夫は、セルフ119をしたというわけ。
今度は取り消すことなく、そのまま運ばれたのだ。

なんでも自分で出来る夫、いや、出来るというよりそうするしかなかったのだろうけど。
さあ、順調に回復しますように……と思っていたのだけど。
(やっぱりつづく)