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デジタルデトックスも叶える編み物に夢中_福永恵さんインタビュー

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気になるプロダクトやプロジェクトをエンタメ性や整理収納の考え方に寄り添いながら紹介し、読者の「キニナル」を刺激します。

今回は、デジタル整理のプロとして発信を続ける福永恵さんがプライベートで手掛けている編み物にフォーカス。編み物を始めたきっかけやその魅力、デジタルデトックス効果についてなどお話を伺いました。

-- めぐさんが編み物をはじめたきっかけを教えてください。
私の母が編み物(主に機械編み)の先生をしていたのがきっかけでした。幼い頃暮らしていた広島の家の2階が編み物教室で、広い土間にはいつも生徒さんたちの靴がズラリと並んでいました。生徒さんは主に近所のお母さん方。家の中にはいつも機械編みのジャーッ、ジャーッという音が響いていたのを覚えています。
母は機械編みを教えながら、ブラザー製の編み機も販売していました。かなりの台数を売ったので、それで家を建てたと言っても過言ではないかも……。

-- 機械編みって1970年代頃に流行りましたよね。となると、当然、めぐさんの子供の頃のお洋服はお母様の手づくりですね。
ピアノの発表会の服は二ットのドレスでした。正直なことを言うと、私はほかの皆が着ているようなヒラヒラした布のドレスが着たかったんです。当時はピンクレディーが流行っていたので、ミニスカートで裾がフレアーになっていて、そこにファーがついているようなデザインのものが着たいとせがんだんですよね。母はそういうデザインをニットで作ってくれていたんです。それが嫌で嫌で、布がいい! って思ってました。

-- 今、考えたらなんと贅沢な! と思ってしまいますが、子どもの頃のことですもんね。
そうですよね。とにかく機械編みでなんでも作ってくれたので、違う素材への憧れがあったというか、ほかの子と同じようなのがいいと思ったのだと思います。
やがて機械編み自体が下火になってきて、母は編み物教室を閉じました。でも教室をやめてからも母が手が空いた時には新しい家の内廊下に置かれた編み機で作品を作っていました。
機械編みもしましたが、かぎ針編みも棒針編みももちろんしていましたので、私が物心ついた頃には、家にはたくさんの種類の毛糸がありましたね。

-- そうした環境で育っためぐさんが、私も編み物をしたい! と実際に編み始めたのはどのタイミングなのでしょう?
それはずばり、彼氏が出来た時ですね(笑)。高校一年生だったかな? 彼氏にマフラーを編みたい……というオーソドックスな動機です。母にマフラー編みたいから教えてと言ったら、「機械で編んだらすぐよ」と言われた記憶があります。いやいやいや、そういうことじゃないんですよと。
そもそも手編みのものをプレゼントしたいと思ったのは従妹がきっかけでした。年始に集まった時に従妹が輪針で腹巻を編んでいたんです。聞くと、当時大ファンだったゴダイゴのタケカワユキヒデさんに腹巻をプレゼントするんだと張り切って作っていたんです。「ああ、好きな人にプレゼントする時に手作りのもので思いを込めるんだなぁ」と知って、私も作りたい! となったわけです。時代、ですよね。

-- 最初の編み物作品がプレゼント用だったということ?
そうなんです。いきなり大作を作りたがるタイプでした(笑)。しかもすぐに使える実用的なものがいいなと考えて取り掛かりました。棒針で表と裏を交互に編んで作るゴム編みのマフラーはたしか茶色の毛糸で作ったはず。割とさくさく編めましたが妙なところで几帳面な性格が出てしまって、編み目がきつくなったりするとほどいて編み直すというのを繰り返したりしていましたね。編み目が揃っていないと気持ち悪いって思っちゃうんです。

-- 処女作はどのくらいの期間で作り上げたんですか?
秋から始めて次の年の秋に完成しました。結局、編み始めたシーズン中には完成できなくて、しばらく寝かせて翌年に無事に渡しました。あ、もちろん相手は同じ人ですよ。
ここだけの話ですが、歴代の彼氏には皆、私の手編み作品が渡ってます。マフラーに始まり、セーター、カウチンなどなど。
その後、短大の被服科に通ったんですが、卒業制作はニットのスーツでした。卒業生の9割はウェディングドレスを縫うんですけど、私は当時バンド活動に明け暮れていたので、ニットなら行き帰りの電車での移動時間で編めるという理由もあってせっせと編みつつ、スーツを完成しました。毛糸を染めるところから手掛けたので、結構こだわって作り上げました。

-- その後、編み物はずっと続けられていたのですか?
実はここ10年程編んでいませんでした。夫が肌が弱いので、ニットが苦手だったというのも理由の一つでした。でもここ最近、また始めたんです。編みたい! という欲求よりデジタルデトックスの手段として編み物を選択しました。ちょうど3年前くらいに編み物ブームが来ましたよね。Instagramでもよく見かけるようになって気になり始めたというタイミングでもありました。
久しぶりに編んだのがショールでした。「瞑想ショール」と名前がついていたのですが、これは底辺から一目ずつ増やしながら編んでいく作り方で、何も考えずにただただ編んでいけばいいので、その名の通り、瞑想でした。

-- デジタル整理を手掛けているめぐさんだからこそ、デジタルデトックスの提案も出来るのは説得力がありますね。
そうなんですが、実は久しぶりに編みものを再開したら楽しくて楽しくて、どんどん作りたくなっちゃいまして。眠る前の1時間程度はパソコンから離れてブルーライトを浴びずに静かに過ごすのが理想だと思いますが、編み物を始めてしまうとそれに集中してしまうというのが正直なところです。別のアドレナリンが出てしまうんです。
でも気になる作品をSNSで探していたりすると本当にキリがなくなってしまうので、本来の目的でもあるデジタルデトックスのために編むことに集中するようにしています。
休日は3時間ぐらい編むこともありますが、なるべく長くても1日1時間程度と決めています。本当に始めるとつい夢中になってしまうので。

-- 1時間ガッと集中して……という感じでしょうか。
オフィスに出勤していた頃は、仕事とプライベートの境目のように帰りがけにさくっとバーで飲んでクールダウンして帰るのが当たり前でしたが、今は完全にフルリモートなので、寝る直前までパソコンに向かってしまいます。それは良くないなと思ったのもありますが、結局、図面をパソコン画面に出して、どこまで編んだかをチェックを入れながら作っていると、それではやはりデジタルデトックスにならないので、続けたい時には仕事部屋を出て、リビングで編むことにしています。こもってしまうと夫婦の会話がなくなっちゃいますしね。


今、私が使っている素材は毛糸ではなくマニラヘンプヤーンという天然素材、麻です。手芸と工芸の中間のような風合いがある作品が作れるのが魅力で、バンブーのハンドルをつけた細編みのバッグやバケツ型のミニバッグなどを作ることが多いです。

-- マニラヘンプヤーンの作品、実物を拝見していますが、とてもいい色ですね。
自分用には黒がほとんどなんですが、ベージュやグレージュ、マスタードなどビビッドな色もあります。風合いがいいし、使っていくと少しくたっと馴染んでいく感じもこの素材のいいところなんです。



-- さきほどデジタルデトックスのために……というお話がありましたが、実際にどのような効果を感じていますか。
私の場合は寝る直前までパソコンに向かいがちで、常に脳が覚醒しているというか、やはりなかなか寝付けないということも多かったんです。でもパソコンから離れて編み物を始めたらドラえもんののび太状態、3秒で入眠できるようになりました。ブルーライトの影響ってこういうことだったのか……と身をもって実感しましたね。無心で編むという行為で、「考える」ということから開放されているなという実感はあって、脳も休める気がしています。

-- ところで、歴代の彼氏には手編みのものをプレゼントしていたというめぐさん、ご主人はニットが苦手ということで、めぐさんの手編みは未だ身に着けられず……なのでしょうか。
実は先ほどお話した「瞑想ショール」で使った糸が肌に優しかったようで、夫婦で色違いで使っています。これからの季節、首もとを温めてくれるので家の中でも外でも大活躍です。

-- 今後のめぐさんの編み物ライフに関するプランニングがあれば教えてください。
編み物をしたいけど、道具や材料を揃えて一から始めるのはハードルが高いとか、先延ばしにしてしまう方に向けて、スターターセットのようなものを用意して一緒に編める場を提供出来たらいいなと思っています。私が編んだ作品を見て同じものを編んでみたい! みたいなところから始めていただくなら気楽ですし、手軽ですよね。二ットカフェ、すでに参加表明してくださっている整理収納アドバイザーの方もいるんですよ。

-- お母様がされていたこととリンクしますね。
母もそういう人が集まる場が好きで、気軽に教えたりおしゃべりしたりするのを楽しんでいたのだと思うんです。自分で手掛けると愛着も湧きますので、皆さんにおすすめしたいなと思っています。

(写真提供/福永 恵、文・栗原晶子)

福永 恵(Megumi Fukunaga)

株式会社 デジタル・ファイリング・ラボ 代表取締役。

地元短大卒業後、音楽業界に就職。コンサートプロモーター、アーティストマネージャー、PRプランナーを経て、WEB業界に転職。
PR業務に携わった際に、業務のオンライン化を企画・提案。某音楽フェスティバルの報道向けの管理サイトに採用され、会員システムなどの構築・運営に23年携わる。
2015年に整理収納アドバイザーを取得後、「暮らしの整理」「時間の整理」から「デジタルデータの整理」まで便利な暮らし方を提案している。
☆福永 恵/横浜市中区の整理収納アドバイザー(@comfy_styling) • Instagram写真と動画


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