紅茶コーディネーターのイノチカが、さまざまな角度から紅茶と共に過ごす時間をご提案するオリジナルエッセイ。
好きなのは紅茶を愉しむしあわせな時間と空間。
一人の時もあれば、大切な誰かと一緒の時も。自宅をはじめ居心地の良い場所でのTeatime。
私の人生の中で、紅茶と紐づく記憶は、いつもしあわせと結びついています。
暮らしに紅茶を取り入れて、日常にもっともっとしあわせな時間を増やしていくことができたなら……。
紅茶にまつわるあれこれを綴ります。どうぞ紅茶を片手にお付き合いください。
《Tea and・・・黒いボトルの物語》
前回オーストラリアでの紅茶との出会いをお話したのですが、今回の旅で、もう一つ初めての紅茶との出会いがありました。
それがこちら【The Tea Collective】

シドニーに行くと、ほとんどの方が立ち寄る有名な観光名所でもあるQVB(クイーン・ビクトリア・ビルディングQueen Victoria Building)。
1898年、当時の英国国王ビクトリア女王の即位50年を記念して造られたため、それは豪華な歴史的建造物で、世界で最も美しいショッピングモールとも言われている場所です。
前回ご紹介したT2のお店も入っていますが、たまたま歩いていて見つけたのがThe Tea Collectiveのお店でした。
高級ブランドや観光土産品など、数多くのショップが並ぶ中、どうしてもTeaと書いてあると反応してしまいます。
The Tea Collectiveでは、黒いボトルが壁一面に整然と並び、その光景は圧巻でした。シンプルな中にも高級感漂うおしゃれな店舗。
紅茶だけでなく、ハーブや様々な植物を原料にした魅力的なブレンド紅茶がたくさんあります。どんな香りか、どんな味か想像しているだけでワクワクが止まりません。
娘は「また始まったね……」と少し呆れ気味(笑)。
いくつか試飲をさせていただくことができ、紅茶の香りが漂う店内にいるとつい時間を忘れてしまいます。
たくさんの種類の中、今回私が選んだのはTOASTED COCONUT <BLACK BLEND COLLECTION>という紅茶です。試飲はできませんでしたが、コナッツの甘い香りを感じた途端に「これいいね!」と娘と意見が合い、買って帰ることに決めました。
コルク栓の黒いボトルも可愛くて、封印ラベルに[HAND BLENDED WITH LOVE]と書いてあります。

ちょっとしたメッセージではありますが、この紅茶を飲む人のことを思いながら、心をこめて紅茶をブレンドしてくれたことが伝わり嬉しくなりますね。
また、The Tea Collectiveは飲む人だけでなく、地球環境にもやさしい紅茶ブランドである点も魅力的です。
ボトルを再利用できるようにリフィルも用意してあり、ティーバッグは、Soilonという生分解性の植物由来素材で作られているそう。実はこのSoilonは日本のメーカー・京都にある山中産業が開発したものだと調べてみて知りました。オーストラリアは環境に対する意識がとても高い国ですが、日本の技術がこんな形でオーストラリアでも使われていることを知り、とても嬉しくなりました。
さて、黒いボトルを大切に持ち帰り、ドキドキしながら自宅ではじめて味わった瞬間、甘い香りとともにシドニーで香りを試した時のことが蘇りました。香りは瞬時に思い出を引き出す鍵であることを今回も実感したところ。
お味の方はスリランカの比較的バランスの良い茶葉を使用してあるようで、美味しく頂くことができました。茶葉の香りというよりはココナッツの香りがしっかり出ているため、甘い香りにつつまれ、リラックスするのに最適です。最初にいただいた時にミルクティーに合うなと思い、二杯目にミルクを入れてみたら、やっぱり甘いお菓子を頂いているような優しさを感じることができました。
現在のところ、店舗はオーストラリアにしかないようですが、シドニーに行く機会がありましたらQVBの店舗にぜひ立ち寄ってみてくださいね。
ただし、残念ながらT2同様、こちらの店舗もTearoomはありませんでした。
QVBは本当に広くて、ショップも沢山あるので、お買い物好きな方は時間をしっかり取っておくことをお勧めします。
次回は娘とのTeatimeについてお話してみようと思います。
そろそろ紅茶のお代わりはいかがですか?
寒さが厳しくなる季節、どうぞ紅茶で心も身体も温めながら、穏やかなひとときをお過ごしください。

