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食べちゃえ! 食べちゃお! / 野中柊

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アトリエM_こばやしいちこによるオリジナルブックレビュー。たくさん読んだ本の中から、読者におすすめの一冊をご紹介します。

食べちゃえ! 食べちゃお! / 野中柊

アメリカ人と結婚した作者が、夫と、逗子の海辺で暮らす食卓を綴ったエッセイ集。クラムチャウダーやら、アップルパイなどたくさんのアメリカっぽいメニューはもちろん、鯖の味噌煮や、手巻きずしなど、日本料理も出てくる。

いわゆる、お料理のレシピ本・指南本ではなく、それにまつわるエピソードや思い出がつづられている作品集だ。食べることが大好きな2人が、日々の食事を大切に丁寧に生活している。

身近に異国の友人もいないし、異国の人と交際している友人もいなかった20代の私にとって、国際結婚した若い二人の生活を垣間見れるこのエッセイは、「へ~、そうなんだ?!」の連発。このエッセイが書かれている時で、このお二人は一緒に暮らし始めて5年だったそうだが、まだまだ恋人同士のようで、とても可愛い。そして、この彼は、子供のころからママと一緒にキッチンに立ち仕込まれたせいか、お料理がとても上手で、手間ひまをおしまない凝りに凝った料理を愛妻に振舞ってくれるのだ。わざわざイーストを発酵させてシナモントーストを作ったり、スパイスを調合してインドカレーを作る。そして、ピッツァはもちろん生地からだ。

アメリカ人のイメージと異なり、肉より魚が大好きな彼と、海の近くの魚屋さんに買い物に行って、一緒に選んで、帰ってから並んでキッチンに立つ・・・ドラマみたい、映画みたい・・・と、うっとりしながら読んだ。国際結婚の大変さはもちろんあると思うけれど、結婚するならアメリカ人とだな~、なんて思ったもんだ、当時。

レシピ本ではないから、分量などは書かれていないが、なんとなくいくつか試しに作ってみたものはある。中でも気に入って今でも自分好みにカスタマイズして作っているメニューのひとつに、「ブランダード」というお料理がある。これはアメリカ人の彼の得意料理のひとつで、フランスの家庭料理だそうだ(複雑・・・)。塩鱈を水に入れて火にかけて、骨と皮を取り除き、身を細かくほぐす。ジャガイモをゆでて冷まして、細かく刻んだにんにくと、鱈のほぐしたものを混ぜながら、マッシュポテトを作る。そこに温めたオリーブオイルと生クリームを少しずつ加えて、塩少々で味を調えて、出来上がり。美味しそうでしょ?薄く切ってカリカリにトーストしたフランスパンにのせて食べたいでしょ?休みの日のブランチに白ワインと、なんて、いいなあ。これを作中では失恋した友人に振舞うのだ。心を込めたおもてなしに、失恋の傷も癒えること間違いなし!

また、甘くないピーナツバターを塗ったトーストに、蜂蜜をかける、というワザも、この本で知った。最初、「うへ!」って思ったけど、間違えてノンシュガーのピーナツバターを買っちゃったとき試してみたら、こっくり甘くて美味しかった。

このお二人、アメリカで生活していたこともあるのだけれど、その時の食のエピソードも楽しい。アメリカには、〈メープルシロップ祭り 〉なるものがあるらしい。5ドルで穫れたて(!)のメープルシロップかけ放題、パンケーキ食べ放題のお祭りだ。出店も立ち並び、メープルシロップの綿菓子も売っていたりする、いつかは行ってみたいなあ。作者は、「パンケーキを食べるためにメープルシロップをかけるのではなく、メープルシロップを味わうためにパンケーキを食べるのだ」と豪語するくらいメープルシロップが好きだそうだが、全く同感。私もメープルシロップは大好き。

というか、どうやら私はこのご夫婦と、食の好みがピッタリだったようだ!

文と写真・こばやしいちこ

小さな頃から本が好き
映画が好き
美味しいものが好き
おせっかいに人に勧めたがり
愛犬・さくら(黒のトイプードル)を溺愛しながら、
毎日なにかしら本を読んでいます。

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